新幹線を物流に活用する方策として、一つ考えてみました。
既存インフラを有効活用できる上にリサイクルが多いのは良いものの、制約条件が多くて何というかこう……。
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1.概要
(1)概略
新幹線を物流に活用するとしたら、果たしてどのような形態が考えられるか検討してみた。
コンテナ積載では初期投資が大きすぎ、バラ積みでは時間と人件費のロスが大きすぎるため、程々の
方法として別の案を考えてみた結果が本稿である。
なお、ここでは特殊設備を必要とする冷蔵品等の運搬については検討しない。
(2)引き込み方法
積み下ろしに要する時間の都合上、旅客駅の着発線を埋めるには時間上でも土地効率上でも
適さないので、貨物駅または運転区に引き込んで積み下ろしまたは積み替えを行うのが
妥当といえる。
この際、引き込み用の線路を用意する必要があるが、この形態について検討してみよう。
ここで、線路新設及び改良費用の凡その目安として、以下の数字が挙げられる。
・平地での在来線新設または増設≒10億円/km・線
・高架・隧道を主とする在来線の新設または増設≒20億円/km・線
・改軌≒5億円/km
・フル規格新幹線新設≒50億円/km
・リニア新設≒180億円/km
これらの他に、都市部買収費や難工事費用等が加わってくる。
鉄道以外の他モードとの接点付近は必然的に低速となる以上、ここを高規格で建設することは
無駄な費用を投じる結果となる可能性が高い。
従ってラストワンマイルについては、既存線の改軌若しくは三線軌化、または標準軌在来線の
新設で対応するのがコスト抑制策として有力であろう。
(3)適地
ダイヤの観点から考えると、凡そ次の通り。
×:東海道、東京〜仙台
低速列車を挟む余地のない過密区間には、このようなものを通す余地はない。
△:新大阪〜岡山、仙台〜盛岡、大宮〜高崎
問題があるにはあるが、退避で所要時間が増加するのを覚悟の上でなら通す余地がある。
○:岡山〜博多、盛岡〜札幌、高崎〜新潟、高崎〜金沢〜福井
基本的に問題ない。
次に、引き込める場所の確保が問題となる。
まず、高崎、新潟は極めて容易に対応できる。では他は?
富山、金沢は容易に貨物ターミナルに引き込める。
また、利府は対在来線の積み替えに、燕三条は対高速道路の積み替えに適している。
とりあえず、これらのパターンに沿う所で可能性を考えてみる。
(4)荷積み方法の検討
問題がこのポイントである。
ここで、コンテナ、バラ積み、パレット積みの3パターンで比較してみる。
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このうち、コンテナは多額の初期費用を必要とする。
また、バラ積みは人件費によるランニングコストの増加が懸念される。
コストを考えれば、輸送量は在来鉄道貨物>新幹線>航空貨物程度であると考えられる。
→従って、程々の線を取って台車付パレットによるものとして考えることとする(固定は
コンテナより容易か?)。
なお、運送業者との連携を図るとしても、あくまで荷物量及びタイミングの連絡を行うに留めるので
あれば、調整システムはEDI+α程度で構築すれば十分だろう。運送業者も含めた効率化を求めるので
なければ、わざわざERPパッケージなどを導入する必要もない。
尤も、既に導入済みで対応範囲を拡張するだけならば、この限りではない。
(5)車輌
旅客輸送に使用しなくなった旧型車を改造すればよい。
座席を外して床に緊定具を取り付け、デッキ扉は不要なので取り外す。
概ね、旅客航空機のF化(貨物機化)改造でもイメージして戴ければ良いだろう。
車体強度・性能上は、少なくとも定員100名×200%×55kg=11t程度の荷物は積載して全く問題ないと
考えられる。この場合、一両あたり12ftコンテナ2個分程度の輸送力か。
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念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして
独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。
なお、引用は引用である限り幾らでも御自由にどうぞ。
○履歴
立案:2009/2/5
着手・仕様検討:2/8
適地検討:2/9
以上を仮公開:2/10
○参考資料
※現在特になし
(C)2009 far-away(◆farawagyp.)
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