フリーゲージトレイン(GCT)考察
 フリーゲージトレインが実用化された場合の効果について少々考えて みました。但し、車体傾斜装置及びキハ283系同様のリンク式操舵台車、局所的な若干の曲線緩和以外の 在来線に於ける速度向上策(例えば新線建設等)は計画が具体的に確定していない限り考慮しないものとします。
 なお、「新幹線建設は基幹となる大幹線のみ、それ以外はGCTと在来線高速化で」が持論の人間の 筆によるものである事を予め御承知置きください。

車輌
所要時分変化
 長崎  大分  山陰・四国  羽越  旭川  釧路  
総括



●車輌
 これは2パターン用意してみた。
 (1)現在試験中のGCTの実用化版
 ほぼ現在のものを踏襲した形で考えてある。275km/hを求められている現状では現在の形状及び出力で営業運転するには 少々難があると言わざるを得ないので、電動機の連続定格245kW(DDMではなくカルダン)化と走行抵抗の低減(700系同等の形状に 短編成となることを考慮して0系同等とする)を図ってから計算してみた。
 なお前提条件は20m級車体、全電動車、自重先頭車44t、中間車48t、電動機効率92%、AC/DC効率90%、過負荷率20%、iv入力 電圧1.5kVDC、起動加速度2.0km/h/s。集電装置は新幹線内に於いてシングルアームパンタ2基、最大集電電流1000A/基。

○4連
 連続定格3920kW、自重184t、定員208名、積車計算重量210t、在来線内パンタ2基、在来線最大出力3000kW(DC)/3700kW(AC)。
 これより新幹線区間内速度種別S66、平坦線均衡308km/h、上り15‰均衡246km/h。3連以下の設定をしなければ先頭車比率が 最大となるケースなので、これを各編成共通の新幹線区間内の性能基準とする。
 在来線に於いては定加速度領域終端85km/h(DC)/94km/h(AC)、速度種別S17(DC)/S28(AC)。出力重量比は789系及び785系3M2Tと 似た様なものだが、走行抵抗が低減されている分高速度での加速余力に大差が付くのがこの差の主な理由である。実際の 所、160km/h超運転は考え難いので過剰性能と言えるが、新幹線走行が前提の機器で在来線を走行する以上これは致し方 ない。制御側で出力を調整するのが現実的な対応だろう。

○6連
 連続定格5880kW、自重272t、定員320名、積車計算重量310t、在来線内パンタ3基、在来線最大出力4000kW(DC/AC)。
 在来線での性能は定加速度領域終端77km/h(DC)/69km/h(AC)、速度種別S6(DC)/A96(AC)、上り20‰均 衡162km/h(DC)/151km/h(AC)、上り25‰均衡143km/h(DC)/133km/h(AC)。新幹線内では、在来線内でのみ使用するパンタを 畳んでおくことが望ましい。
 これでもなお過剰性能ではあるが、4連に比べれば大分落ち着いているので高速走行線区ではこの辺りで運用するのも 一手ではあるだろう。

○8連
 連続定格7840kW、自重360t、定員448名、積車計算重量410t、在来線内パンタ3基、在来線最大出力4000kW(DC/AC)。
 在来線での性能は定加速度領域終端58km/h(DC)/52km/h(AC)、速度種別A79(DC)/A69(AC)、上り20‰均 衡134km/h(DC)/124km/h(AC)、上り25‰均衡116km/h(DC)/106km/h(AC)。中速域では昨今の快速用一般 電車を下回るほどだが、一定出力のままひたすら高速側に延ばせるので結果として高速性能にはこうした差が生じる のである。平坦線区で160km/h運転を行うには十分だが、曲線の然程きつくない勾配線区では少々難があるだろう。

 以上で最大軸重は13.3tとなり、275km/h運転に留める限りは十分に許容範囲内である。また車体傾斜は空気ばね式で 新幹線区間に於いて最大2度、在来線区間に於いては最大5度とする。集電部分の傾斜角をどうやって確保するかに ついては、無責任ながら棚上げさせて貰う(在来線区間に限れば空気ばねでどうにかできないかとも思ったが、信頼性に 難があると考えられる為)。

 (2)DMU-GCT
 DMU(Diesel Multiple Unit)、つまりディーゼル版のGCTもついでに考えてみた。電化コストを考えれば、智頭急行や 石勝線、根室本線、宗谷南線といった130km/h対応軌道の過疎線区に限れば一考の余地があると判断した為である。
 …尤も少なく見積もって5億円/両としても20両で100億、高速化対応の線路改良並びに軌間変更装置及びアプローチ 建設と併せて、好条件のこれら線区の改良でも2〜300億程度の投資額にはなるので、もし現実の話になれば相当慎重に 計画を立てなければ冗談にならない。正直な所、こんな事をするよりは新八代方式で高性能ディーゼルに対面乗継ぎを 行う方が良いと思うが…。

 とりあえず、考えたものを書くだけ書いておく。
 あまりに高価に過ぎることが容易に予想できるので本気では想定に使用しないが悪しからず。
 電気式とし、(1)同様に連続定格245kWの電動機を用いる。最低編成長3両、20m級車体、全電動車且つ全車内燃機関 搭載、自重全車44t、電動機効率92%、AC/DC効率90%、発電効率90%、定格使用、起動加速度2.0km/h/s。
 車体傾斜は空気ばね式で新幹線区間に於いて最大2度、在来線区間に於いては最大6度。(1)とは違い、集電の事を 考える必要は無い。
 なお、事実上何でもありになってしまうのでガスタービンにはここでは触れないこととする。

○3連
 床下搭載が可能な内燃機関の寸法には限度があり、現在可能な範囲の機関のみでは出力が不足するので、先頭車 には
コマツ製SA6D140-HD(500PS設定)×2、中間車 には敢えて客室スペースを削って床上までを内燃機関積載スペースとし、2000PS機関×2としてみた。合計発電 電力は3960kVA、使用可能な電力は3564kWDCとなる。
 これで連続定格2940kW、自重144t、定員136名、積車計算重量150t。
 速度種別S60、平坦線均衡302km/h、上り15‰均衡240km/h、上り20‰均衡220km/h、上り25‰均衡202km/h。内燃車なので 新幹線区間と在来線区間で出力を変える必要は無いが、出せる速度に大きな開きがあるので事実上変更するのと同じ事に なるだろう。

○5連
 所要出力対中間車比率は3連に比べると大幅に低減される為、中間車の内燃機関はDF200後期型に使用されて いるコマツ製SDA12V170-1(1800PS設定)×2に した上で更に2両に積めば足り、残り1両の中間車は500PS×2で良い。
 これで連続定格4900kW、自重240t、定員220名、積車計算重量250t。走行性能は3連に同一である。

 軸重は12.5tとしておいた。おそらく相当な難題であろう。


 とりあえず、電車方式をG1系、内燃車方式をG2系としておく。当然全編成併結装置装備。
 ○G1系4連
 ←佐世保          新大阪→
12 34
Mc1
G121
Mhs2
G176
M'1
G127
Mc2
G122
G指
48名 28名24名 60名 48名
 編成定員208名(普通席184+グリーン席24)
 …実際の所、電車4連では佐世保行きくらいしか使う局面は無いだろう。
 因みに3号車は2パン車。

 ○G1系6連
 ←長崎・大分・松山・出雲市       新大阪→
 ←東京・大宮・新函館     酒田・秋田・旭川→

12 34 56
Mc1
G121
Ms2
G116
M'1
G125
M2
G126
M'1
G127
Mc2
G122
G指
48名36名 60名 68名 60名 48名
 編成定員320名(普通席284+グリーン席36)
 殆どの局面で使用されるのはこれだろう。
 5号車は2パン車。

 ○G1系8連
 ←四国・九州                     新大阪→
12 34 56 78
Mc1
G121
Ms2
G116
M'1
G125
M2
G126
M'1
G125
M2
G126
M'1
G125
Mc2
G122
G指
48名36名 60名68名 60名 68名 60名 48名
 編成定員448名(普通席412+グリーン席36)
 逆に輸送量が大き過ぎて適当な線区が判らなかった。

 ○G2系3連
 ←新山口  出雲市・新大阪→
12 3
Mc
G221
M'
G226
Mc
G222
44名 48名 44名
 編成定員136名
 Sはくと及びSいなばの線区が被ることもあって、実は良く良く考えたら3連で需要が 足りるような所はSおき該当区間しか存在しなかったのである。

 ○G2系5連
 ←宿毛・高知・鳥取       新大阪→
12 34 5
Mc
G221
M'
G225
Ms
G215
M'
G225
Mc
G222
G指
48名44名 36名 44名 48名
 編成定員250名(普通席214+グリーン席36)
 「万が一」導入されたらかなり広く用いられると考えられる。


 ※編成表番外編:もし北海道でDMU-GCTを導入したら
 上では敢えて北海道を行き先に書かなかったが、実はスーパー北斗はもとより、スーパーおおぞらと スーパー宗谷も非常に乗客数が多い為に頻繁に増結状態で運用されている現状がある。もし運行本数が 現状同等のままにそれをGCT化してしまった場合、編成は果たしてどうなると考えられるかを参考までに 示してみた。

 ○そうや:G2系5+3連
 ←函館                         稚内→
12 34 5 67 8
Mc
G221
M'
G225
Ms
G215
M'
G225
Mc
G222
Mc
G221
M'
G226
Mc
G222
G指
48名44名 36名 44名 48名 44名 48名 44名
 編成定員386名(普通席350+グリーン席36)
 編成出力16200PS、7840kW。…が、まだ甘い。

 ○おおぞら:G2系5+5+3連
 ←函 館                                          帯広・釧路→
12 34 5 67 89 10 1112 13
Mc
G221
M'
G225
Ms
G215
M'
G225
Mc
G222
Mc
G221
M'
G225
Ms
G215
M'
G225
Mc
G222
Mc
G221
M'
G226
Mc
G222
G指 G指
48名44名 36名 44名 48名 48名44名 36名 44名 48名 44名 48名 44名
 編成定員636名(普通席564+グリーン席72)
 編成出力28400PS、12740kW。…もう何が何やら。

 札幌と道東・道北を結ぶ特急は、繁忙期には現にこれだけの需要があるのが実情なので、もし これらの列車にGCTを導入するならば、それに対応できるだけの本数を導入しなければ ならない訳である。明らかに割に合わないので、従来通り札幌乗換えとした方が無難だろう。



●所要時分変化
 さて、あまりにも量が多過ぎて詳細に書いていたら1ヶ月以上を要することはまず避けられないので、ここでは 変更点の概要と主な区間の所要時分変化を記すのみに留めておく。
 なお、軌間変更の所要時分は余裕を持って2分とした。
 (黒字:標準時分、赤字:最速時分)

○長崎
 共通変更点:G1系投入・新在連絡点新鳥栖
個別変更点 区間別変化(括弧内キロ程は新幹線経由) 備考
博多
〜鳥栖(新鳥栖)
鳥栖(新鳥栖)
〜肥前山口
肥前山口
〜長崎
博多
〜長崎
28.6km
(26.3km)
(26.3km)
39.6km
(36.7km)
(36.7km)
85.7km
85.7km
(66.0km)
153.9km
(148.7km)
(129.0km)
現行885系 0:20(85.8km/h)
0:20(85.8km/h)
0:24(99.0km/h)
0:24(99.0km/h)
1:06(77.9km/h)
1:02(82.9km/h)
1:51(83.2km/h)
1:48(85.5km/h)
 
GCT化のみ 0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:24(91.8km/h)
0:24(91.8km/h)
1:06(77.9km/h)
1:02(82.9km/h)
1:41(88.3km/h)
1:38(91.0km/h)
 
肥前山口〜諫早間130km/h化
同R400以下の急曲線の緩和
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:24(91.8km/h)
0:24(91.8km/h)
1:01(84.3km/h)
0:57(90.2km/h)
1:36(92.9km/h)
1:33(95.9km/h)
線形改良のみ
肥前山口〜諫早間130km/h化
同R400以下の急曲線の緩和
佐賀以外通過
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:23(95.7km/h)
0:23(95.7km/h)
0:56(91.8km/h)
0:52(98.9km/h)
1:30(99.1km/h)
1:27(102.6km/h)
線形改良のみ
肥前山口〜諫早間130km/h化
同R400以下の急曲線の緩和
新鳥栖〜肥前山口間160km/h化
喜々津〜長崎間160km/h化
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:21(104.9km/h)
0:21(104.9km/h)
0:59(87.2km/h)
0:55(93.5km/h)
1:30(99.1km/h)
1:27(102.6km/h)
線形改良
160km/h認可
肥前山口〜諫早間130km/h化
同R400以下の急曲線の緩和
新鳥栖〜肥前山口間160km/h化
喜々津〜長崎間160km/h化
佐賀以外通過
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:20(110.1km/h)
0:20(110.1km/h)
0:54(95.2km/h)
0:50(102.8km/h)
1:25(105.0km/h)
1:22(108.8km/h)
線形改良
160km/h認可
武雄温泉〜長崎間新線200km/h
肥前山口〜武雄温泉間130km/h化
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:24(91.8km/h)
0:24(91.8km/h)
0:40(99.0km/h)
0:40(99.0km/h)
1:14(104.6km/h)
1:14(104.6km/h)
スーパー特急
(九州新幹線
長崎ルート)
武雄温泉〜長崎間新線200km/h
肥前山口〜武雄温泉間130km/h化
佐賀以外通過
0:10(157.8km/h)
0:10(157.8km/h)
0:23(95.7km/h)
0:23(95.7km/h)
0:31(127.7km/h)
0:31(127.7km/h)
1:04(120.9km/h)
1:04(120.9km/h)
スーパー特急
(九州新幹線
長崎ルート)
(※)
 ※長崎県新幹線建設推進室による試算条件と同一

 …最速達列車でも所要時分が半減もしない上に末端部にしか益がないものを4000億掛けて造るのと、その6割程度の 効果で沿線全体に恩恵があるように3〜400億程度で改良するのと、どちらが理に適っているのやら。
 ともあれスーパー特急方式での新線建設を行わずとも、GCT投入で新鳥栖以北の速度向上によって10分、線形改良と 最高速引上げによって更に10分程度の時間短縮は可能となる。


○大分
 共通変更点:G1系投入・新在連絡点小倉
   (省略)
 書くまでもない。既にこれ以上の高速化は難しい所に来ている。従って山陽新幹線直通による便益のみとなる。


○山陰・四国方面
 
既にHIT氏のよみの国研究所に詳細な検討結果が存在するので、ここでは 略すことにする。


○羽越
 共通変更点:G1系投入・新在連絡点新潟・在来線地上設備車体傾斜対応・新潟停車3分
個別変更点 区間別変化 備考
東京
〜新潟(※1)
新潟
〜村上
村上
〜酒田
酒田
〜秋田
新潟
〜酒田
東京
〜酒田(※1)
300.8km 60.7km 107.5km 104.8km 168.2km 469.0km
現行200系+485系 2:08(141.0km/h)
1:50(164.1km/h)
0:47(77.5km/h)
0:46(79.2km/h)
1:25(75.9km/h)
1:23(77.7km/h)
1:24(74.9km/h)
1:23(75.8km/h)
2:12(76.5km/h)
2:09(78.2km/h)
4:37(101.6km/h)
4:29(104.6km/h)
 
GCT化のみ 2:06(143.2km/h)
1:49(165.6km/h)
0:46(79.2km/h)
0:45(80.9km/h)
1:22(78.7km/h)
1:20(80.6km/h)
1:22(76.7km/h)
1:21(77.6km/h)
2:08(78.8km/h)
2:05(80.7km/h)
4:17(109.5km/h)
3:57(118.7km/h)
 
新潟〜村上間130km/h化
村上〜酒田間110km/h化
高崎〜新潟間275km/h化
東京〜大宮間160km/h化
2:03(146.7km/h)
1:40(180.5km/h)
0:40(91.1km/h)
0:39(93.4km/h)
1:14(87.2km/h)
1:12(89.6km/h)
1:13(86.1km/h)
1:12(87.3km/h)
1:54(88.5km/h)
1:51(90.9km/h)
4:00(117.3km/h)
3:34(131.5km/h)
酒田以南高速化
新幹線高速化
新潟〜酒田間130km/h化
酒田〜秋田間110km/h化
高崎〜新潟間275km/h化
東京〜大宮間160km/h化
2:03(146.7km/h)
1:40(180.5km/h)
0:40(91.1km/h)
0:39(93.4km/h)
1:09(93.5km/h)
1:07(96.3km/h)
1:13(86.1km/h)
1:12(87.3km/h)
1:49(92.6km/h)
1:46(95.2km/h)
3:55(119.7km/h)
3:29(134.6km/h)
全区間高速化
(大宮〜高崎を除く)
新潟〜酒田間130km/h化
酒田〜秋田間110km/h化
高崎〜新潟間275km/h化
東京〜大宮 間160km/h化
停車駅整理(※2)
1:56(155.6km/h)
1:40(180.5km/h)
0:38(95.8km/h)
0:37(98.4km/h)
1:09(93.5km/h)
1:07(96.3km/h)
1:13(86.1km/h)
1:12(87.3km/h)
1:47(94.3km/h)
1:44(97.0km/h)
3:46(124.5km/h)
3:27(135.9km/h)
全区間高速化
(大宮〜高崎を除く)
 ※1:新幹線最速列車は新潟速達が使命のシングルナンバーではなく、併結に用いり得る300番台の最速列車。
 ※2:熊谷・本庄早稲田・上毛高原・浦佐・燕三条・豊栄・中条通過

 やはり、GCT単体では乗換時分の無駄を省く以上の効果が発現しない。地上設備の車体傾斜制御への対応を 行い、軌道の高速化対応を施して漸く大幅な時間短縮が可能になるのである。
 なお、最終案で豊栄及び中条を通過としたのは快速及び普通で補える位置であると判断した為である。
 軌道の現状及び前例から、酒田以南に限れば地上側の対応費用が300億を大きく上回る事はないだろう。


○旭川
 一応参考までに記しておく。
 共通変更点:新在連絡点札幌・地上設備車体傾斜対応・札幌停車3分
個別変更点 区間別変化
(括弧内キロ程は新幹線経由)
備考
函館(新函館)
〜札幌
札幌
〜旭川
函館(新函館)
〜旭川
318.7km
(211.4km)
136.8km
136.8km
455.5km
(348.2km)
現行キハ281系+785系 3:17(97.1km/h)
3:00(106.2km/h)
1:20(102.6km/h)
1:20(102.6km/h)
4:50(94.2km/h)
4:37(98.7km/h)
 
E5系+785系 0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
1:20(102.6km/h)
1:20(102.6km/h)
2:32(137.4km/h)
2:23(146.1km/h)
 
E5系+789系車体傾斜2度(※)
札幌〜旭川間160km/h化(789限定)
0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
1:20(102.6km/h)
1:10(117.3km/h)
2:32(137.4km/h)
2:13(157.1km/h)
789・785各1本/時
160km/h認可
E5系+789系車体傾斜2度(※)
札幌〜旭川間160km/h化(789限定)
時隔調整(SWA10・50、Lilac25)
0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
1:20(102.6km/h)
1:10(117.3km/h)
2:17(152.5km/h)
2:03(169.9km/h)
789 2本/時
785 1本/時
160km/h認可
GCT
札幌〜旭川間160km/h化
1:13(173.8km/h)
1:13(173.8km/h)
1:10(117.3km/h)
1:10(117.3km/h)
2:26(143.1km/h)
2:26(143.1km/h)
GCT・789・785各1本/時
札幌停車3分
160km/h認可
 ※:既に製造時に準備工事済

 こと北海道新幹線に於いては、275km/h制限の為に乗換えるよりもGCTで直通する方がかえって遅くなるという 事態が生じる。そもそも道内の都市間輸送需要の殆どは札幌起点で成り立つものであるから、札幌から道南に 向かって新幹線区間へ直通しても大した意味はないのである。寧ろ、仮にGCT導入計画があったとしても それを行わず、その分在来線高速車輌への投資を増やす方が賢明だろう。
 なお線形改良は全くできない訳ではないが、大きな費用を投じずに可能な箇所は高速曲線2箇所の緩和のみと 効果が薄いので(短縮時分はせいぜい30秒)、事実上できないに等しい。


○釧路
 共通変更点:G2系投入・新在連絡点札幌・札幌停車3分
個別変更点 区間別変化(括弧内キロ程は新幹線経由) 備考
函館(新函館)
〜札幌
札幌
〜帯広(※1)
帯広
〜釧路
札幌
〜釧路
函館(新函館)
〜帯広(※1)
函館(新函館)
〜釧路
318.7km
(211.4km)
220.2km
220.2km
128.3km
128.3km
348.5km
348.5km
450.9km(※2)
(431.6km)
579.2km(※2)
(559.9km)
現行キハ281系+キハ283系 3:17(97.1km/h)
3:00(106.2km/h)
2:29(88.7km/h)
2:10(101.6km/h)
1:29(86.5km/h)
1:27(88.5km/h)
3:51(90.5km/h)
3:38(95.9km/h)
5:29(82.2km/h)
4:44(95.3km/h)
6:47(85.4km/h)
6:14(92.9km/h)
 
E5系+キハ283系 0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
2:29(88.7km/h)
2:10(101.6km/h)
1:29(86.5km/h)
1:27(88.5km/h)
3:51(90.5km/h)
3:38(95.9km/h)
3:30(123.3km/h)
3:13(134.2km/h)
4:52(115.0km/h)
4:45(117.9km/h)
 
E5系+キハ283系
時隔調整(50発)
0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
2:29(88.7km/h)
2:10(101.6km/h)
1:29(86.5km/h)
1:27(88.5km/h)
3:51(90.5km/h)
3:38(95.9km/h)
3:22(128.2km/h)
3:03(141.5km/h)
4:44(118.3km/h)
4:31(124.0km/h)
 
E5系+キハ283系
時隔調整(50発)
札幌〜釧路間140km/h化
0:44(288.3km/h)
0:40(317.1km/h)
2:22(93.0km/h)
2:02(108.3km/h)
1:25(90.6km/h)
1:23(92.7km/h)
3:40(95.0km/h)
3:26(101.5km/h)
3:15(132.8km/h)
2:55(148.0km/h)
4:33(123.1km/h)
4:19(129.7km/h)
140km/h認可
GCT 1:13(173.8km/h)
1:13(173.8km/h)
2:31(87.5km/h)
2:12(100.1km/h)
1:27(88.5km/h)
1:25(90.6km/h)
3:51(90.5km/h)
3:38(95.9km/h)
3:43(84.3km/h)
3:19(90.2km/h)
5:07(92.9km/h)
4:54(95.9km/h)
 
GCT
札幌〜釧路間140km/h化
1:13(173.8km/h)
1:13(173.8km/h)
2:23(92.4km/h)
2:03(107.4km/h)
1:23(92.7km/h)
1:21(95.0km/h)
3:39(95.5km/h)
3:25(102.0km/h)
3:31(122.7km/h)
3:06(139.2km/h)
4:55(113.9km/h)
4:41(119.6km/h)
140km/h認可
 ※1:帯広までの標準時分にはSとかちを含む。
 ※2:南千歳乗継ぎ

 以上の通り、やはりGCT化によりかえって所要時分が増大してしまい、別立てにする方がかえって 早く着くという結果を生んでしまうので速達化の観点から見ればGCT化しないことが望ましい。帯広〜釧路 間(正確には新札幌〜釧路間)に於いてはGCTの場合の方が速くなっているが、これは単純に加速性能の差に 拠るものであってGCTであることに特段の意味はない。それよりも1200PS級の高出力気動車を導入する 方が、導入費用も維持費用も遥かに低廉で済むのでより効率的だろう。
 なおこの区間に於いては140→160km/h向上による時間短縮効果が微小であることは比較的広く知られて いるので、160km/h向上場合の計算は省いた。

 宗谷本線についても同様の結論しか出ないので、これは略す。



●総括
 以上の通り、GCTを使用して効果的なのはあくまで直通そのものに意味がある場合、或いはそれを口実にして 性能向上及び車体傾斜機構による所要時分短縮を図る場合程度だろう。高性能車輌を投入した所で、在来線の 高速化は既に車輌側(600m条項を除く部分)よりも軌道側の限界に支配されているようなものなので大した効果は 見込めないと思われる。
 その上最高速度が275km/h程度に制限されてしまう為に、300km/h超の超高速運転が計画されている線区では かえって遅くなってしまうのである。
 実際の所、新幹線区間への直通を除けばGCT及びミニ新幹線は、それ単体は錯覚の様なものである。所要時分 短縮効果の殆どは在来線改良に拠るものであり、乗換え時分も新八代で行われている対面乗換えをすれば3分までは 極端でも10分とは必要あるまい。

 寧ろ問題なのは、高速運転線区での600m規則の撤廃または緩和が可能になるかどうかだろう。130km/h-600m同等の 制動力では150km/h-800m、160km/h-950m、180km/h-1200m、200km/h-1500mと、1000mが許容されれば従来ブレーキ でも160km/h対応可なのでこの辺りが落とし所になるのではないだろうか。

 とりあえず、DMU-GCTは論外だろう。北海道に適さない以上、仮に開発に成功したとてまともに成果を上げる ことは困難と思われる。開発費用よりも山陰及び四国の主要部電化の方がかえって安く上がるかも知れない。





 念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして 独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。
 なお、引用は幾らでも御自由にどうぞ。

○履歴
 立案・着手:2005/1/中旬
 公開:1/24


参考資料:○ルート・線路条件
      JR時刻表、Mapion
     ○車輌資料
      鉄道ファン92年4月号及び00年3月号、etc.
      第163回鉄道総研月例発表会 資料各種
      (以上敬称略)

※執筆中BGM:運命と絆(Wong Wing Tsan、1997年)
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