北陸系統への365km/h対応車輌(E5系?)投入についての話題が盛んになっていた ので、先の北海道新幹線想定ダイヤで用いた性能の車輌を こちらに用いた場合に、ダイヤや所要時分がどの程度変化するのかを算定し直してみました。 |
●車輌 ●基準運転時分 ●運行ダイヤ ●所要時分比較 |
●車輌 ここでは以前の北陸新幹線想定より追加となるE5系のみに限って触れておく。 この場合、余剰のE2系は波動用を除き上越新幹線に回すこととなる。 ○E5系8連(併結装置無) 基本的な部分は先の北海道新幹線用8両編成と同等だが、長くても2時間程度の利用、そして厳寒地帯は走行しない という点を考慮して多少のコストダウン仕様を想定してみる。とはいえここでそう言及する以外の変更は考慮しない。 ←東 京 金沢→
各々の変更点の意図は解るだろうと思われるので省略する。 |
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E2系充当の準速達列車及びE4系充当列車については、以前の試算と同一なので省略する。 E5系充当列車の速度は大宮〜高崎間については北海道新幹線想定の際の大宮〜宇都宮間に 合わせて、高崎以北は速度向上試験の計画数値に合わせて以上の数値とした。 曲線条件についてはカントが高崎以南155mm、高崎〜長野180mm、長野以北200mm。車体傾斜 角度は2度である。2015年頃では高崎〜長野間のスラブ打ち直しにはまだ早過ぎると思われる ので、既営業区間のカントは現状のままとした。 長野以北でもかなりの数が存在するR4000mの曲線だが、ここでは傾斜角2度0.08Gに合わせて 敢えて頭打ち速度355km/h(計算350)で算定した。365km/hに引き上げた場合との所要時分差は30秒 以内に収まるので(運転曲線上は約18秒)、基準変更までして無理に引き上げる必要もないだろう。 なお、R4000mで355km/hに抑えると実際に365km/h運転が可能なのは佐久平〜富山間のみだった。 下り30‰抑速制動時の速度は単純に回生容量=定格出力となる速度を求めれば321km/hだが、一方 高速度では常用制動パターンに勾配による加速を加味すると極めて減速度が小さくなって しまう。安全を見込んで、ひとまず減速度0.25km/h/sを目安に下り30‰の制限速度は280km/hと して計算した。碓氷峠登攀時(定格出力・トンネル内)の均衡速度は242km/hとしてある。 |
●運行ダイヤ ここではE5系充当列車と新潟方面に関連する代表例のみを記載した。それ以外はダイヤグラムを以って代える。 ○下り
○上り
ダイヤグラムは次の通り。 |
はくたか速達・最速達:青実線(太)━━ | はくたか準速達:紫実線(太)━━ |
E2系とき:赤実線(太)━━ | 東北系統:黄実線(細)── |
Maxあさま+上越系統:緑実線(細)── | 単独上越系統:白実線(細)── |
回送:白破線(細)─ ─ |
速達列車の所要時分が変わったのみで概要は大筋で以前の通り。 但し、高崎の配線を活かして高崎停車速達列車と緩行列車の間の待避を設定する、本来高崎停車の 準速達ときは最速達はくたかが後に続く場合高崎通過としたなど、細部の変更箇所はかなりの数に上る。 |
●所要時分比較 現行、金沢開業300km/h運転、金沢開業365km/h運転、航空利用時の4ケースで比較する。 (黒字:標準時分、赤字:最速時分) |
個別変更点 | 区間別変化 | 備考 | ||
東京 〜富山 |
東京 〜金沢 |
東京 〜福井(※) | ||
現行(上越新幹線+はくたか) | 3:16(117.8km/h) 3:11(120.8km/h) |
3:53(114.4km/h) 3:48(116.9km/h) |
3:23(150.2km/h) 3:22(151.0km/h) |
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384.7km | 444.1km | 508.2km | ||
北陸新幹線金沢開業(300km/h) | 2:1045(181.5km/h) 1:5900(199.4km/h) |
2:2915(182.5km/h) 2:1730(198.1km/h) |
3:22(157.6km/h) 3:06(171.2km/h) |
金沢での新在乗り継ぎ時分は8分 |
395.5km | 454.0km | 530.7km | ||
北陸新幹線金沢開業(365km/h) | 1:5500(206.3km/h) 1:4245(230.9km/h) |
2:1130(207.1km/h) 1:5915(228.4km/h) |
3:04(173.1km/h) 2:48(189.5km/h) |
金沢での新在乗り継ぎ時分は8分 |
395.5km | 454.0km | 530.7km | ||
航空利用 | 2:40 | 3:00 | 3:20 | 中心地対中心地・公共交通機関 都心〜羽田 出発は60分で計算 |
※:現行は西回り、金沢開業は東回りルート。 東京〜富山の航空路線は特殊事情がない限りほぼ確実に消滅し、東京〜小松についても金沢方面への 需要は殆どが新幹線に移行するだろう。富山空港が松本空港同様になるのは時間の問題といえよう。能登便 にはおそらく影響が生じない。 但し、金沢以西については300km/h運転でも需要の殆どが新幹線側に移るとみられ、金沢開業段階で365km/hに 引き上げた場合にそのことによって顕著な効果が出るのは福井周辺のみと推測できる。 利便性はともかく、こと需要の占有率について見る限りでは365km/h化の必要性は小さい。遠距離でより 速達性が求められる東北・北海道系統への365km/h対応車(E5・E6系?)が十分に増備されるか、福井若しくは 敦賀開業まで待って高速化する方が効率的ではないだろうか。 従って、軌道は将来の超高速運転を視野に入れた構造にしつつ、車輌は必要十分な程度に留めておく。金沢 開業時点ではそれで十分であろう、とこの比較から結論付けられる。 これは決して高速化そのものを否定するものではなく、あくまで地上設備の一部(架線張力やホーム防護等)と 車輌側のコストの問題に過ぎないので、JR西日本が負担するなり東日本に相応の余裕が生じるなりすれば 速度向上には何ら問題無いことも付記しておく。 |
念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして
独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。 なお、引用は幾らでも御自由にどうぞ。 ○履歴 着手:2005/6/19 基準所要時分:6/26 WinDIA修正打ち込み:6/27 全体調整・公開:6/27 修正(新高岡駅位置確定):2006/5/25 参考資料:○ルート・線路条件・所要時分比較参考 北陸新幹線関連広報・報道、JR時刻表、Mapion、ANA時刻表、JAL時刻表、 世界の高速鉄道(佐藤芳彦、1998年)、 新幹線はもっと速くできる(川島令三、1999年) 未来を拓く 北陸新幹線(富山県北陸新幹線対策連絡協議会) 饋電区分所位置に ついては探検発見:JR東日本 新軽井沢き電区分所(なりたま通信所)より 長野〜富山間構造物位置に ついては整備新幹線の今がわかる ページ内資料も使用 ○地形条件・現状建造物状況 日本地図帳(昭文社、1983年)、Mapion ○車輌資料 自筆ノート、新幹線はもっと速くできる(川島令三、1999年)、 鉄道ダイヤ情報95年5月号、 及び北海道新幹線想定ダイヤ(拙著) (以上敬称略) (C)2005 far-away(◆farawagyp.)
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