大宮接続新幹線リレー号考察
 まさかとは思ったものの、自民党が上越新幹線の残区間である新宿〜大宮間の建設計画を 推進するという報道が為されたので、対案として考えてみました。
 新幹線自体の新宿〜大宮間延伸なんて事をするよりも、在来線(東北貨物線)を利用した方が 遥かに高効率だと思うのですが…。

ルート  車輌  所要時分等変化



●ルート
 公表された計画では、工費は6000億円+騒音対策費等と1兆円近くになる事が伺える。これで新宿〜大宮 間28.3kmが11分で結ばれ、新宿から東北及び信越方面へ乗換え無しでの移動が可能となるという。だが、既に 東京というターミナルが存在する状態で、巨額の投資をしてまで建設するほどの価値がこれにあるのだろうか。
 通勤需要があるのは確かだが、数駅先から新幹線で30余分とほぼ最寄駅から特急またはライナーで50余分 ないし1時間強を比較して、果たしてどれだけの差がある事か。仮令遠距離であっても、着席が保証される ライナーと新八代方式の乗換えを組み合わせて20分程度の差であれば、然程問題は無いのではなかろうか。それ どころか、リレー特急をN'EXのようにフィーダーとしての性格を持つものとすれば新宿以南・以西からの集客力が かえって増すことにはならないだろうか。

 ここでは、大宮の新幹線第1ホーム(13・14番線)の東側に平行して線増する方式を取ってみた。新幹線及び 埼京線ホームの番数を変更する必要はあるが、空間があり現13番線より分岐する形を取れば発着線の追加も 可能なのでこれで済ませておく。1面2線とするか2面3線ないし4線とするかは想定需要次第だが、ここでは 運用の容易性を考慮して2面3線の中線を在来線とする。
 在来線は赤羽方に向かって高架から下り、地平で東北貨物線と合流する。結果建設しなければならないのは 大宮駅の線増部とアプローチ数百mのみであり、おそらく掛かって2〜300億程度だろう。
 東北貨物線はとりあえず130km/h対応としておくが、これは最高120km/hの場合と比較して25秒程度の差が 生じるに過ぎない。実行できなくとも殆ど気にする必要の無い相違であるといえよう。



●車輌
 コスト抑制を第一とすれば183系余剰車が最適だろうが、大宮発着を設定せざるを得ない状況になって なおもそれでは流石にサービスレベルの均衡が取れないと思われるのでE257系としておく。性能上の 要請ではなく、あくまでアコモ等の問題である。

 編成長は9〜15連程度だろうか。E257系の場合バリエーションに富み過ぎるので、逆に編成図は略す。



●所要時分等変化
 現状ホームを使用してのリレー特急(新宿〜大宮間池袋停車25分30秒・乗換え10分)、アプローチ線建設での リレー特急(新宿〜大宮間池袋停車25分30秒・乗換え3分)、新幹線建設(新宿〜大宮間無停車11分)及び 現行(乗換え10分)の4通りで比較した。
 なお、リレー特急の所要時分は130km/h向上による25秒と赤羽90km/h通過による短縮分を 現行の湘南新宿ライン最速列車より差し引いて求めた。

  区間別変化(括弧内キロ程は新幹線建設の場合) 備考
新宿
〜大宮
新宿
〜仙台
新宿
〜新潟
新宿
〜長野
33.2km
(28.3km)
327.3km
(322.4km)
302.7km
(297.8km)
227.9km
(223.0km)
現行 0:29(68.7km/h) 1:54(172.3km/h) 2:06(144.1km/h) 1:54(119.9km/h) 湘南新宿ライン標準
現状ホーム+リレー特急 0:2530(78.1km/h) 1:5030(177.7km/h) 2:0230(148.3km/h) 1:5030(123.7km/h)  
アプローチ線+リレー特急(※) 0:2530(78.1km/h) 1:4330(189.7km/h) 1:5530(157.2km/h) 1:4330(132.1km/h)  
新幹線建設 0:11(154.4km/h) 1:27(222.3km/h) 1:39(180.5km/h) 1:27(153.8km/h)  
 ※:通過分岐器数の大幅抑制による時短効果と地平-高架の勾配による延着効果を相殺

 アプローチ線建設で新幹線建設の場合に比べ20分弱の所要時分差となるが、建設費が数十分の一に 抑えられるので投資回収は極めて容易となる。リレー特急の場合料金収入のみでも新宿〜大宮 間で250(自由席)円若しくは500(指定席)円の増収となり、25往復/日、利用者300名/列車で 年間13億6875万円の増収となる。つまり、需要創出を無視してもなお十分にペイできる ものとなるのである。
 一方、新幹線の場合一部区間で1000円増収となるが、殆どの場合200円の増収に留まる。2倍 本数、800名/列車としても年間60億円程度の増収に留まり、相当レベルの需要創出が為されなければ マイナスとなりかねない。新幹線建設であるからJR以外の財源を用いることとなるのだろうが、果たして 大部分が償還困難な事業に昨今の情勢で取り掛かって良いものなのだろうか。
 少なくとも、現行整備各線が完工する目処が立ってからの着工にすべきだと思うが。





 念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして 独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。
 なお、引用は幾らでも御自由にどうぞ。

○履歴
 立案・着手:1/31
 計算:2/1
 打ち込み・文章・公開:2/22


参考資料:○ルート・線路条件
      JR時刻表、
      記憶(貨物線渋谷〜大宮間は通勤・通学等で使用している為これで足りる)
     ○車輌資料
      自筆ノートのみ
      (以上敬称略)


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