石北本線高速化
 いきなりこういう言い方も何ですが、事実上見放された状態になって おりJR発足時から然程大きな変化のない石北本線。
 しかし北斗系統へのハイブリッド車(キハ285系?)投入によってN183とNN183が、とかち系統への キハ261系投入によってとかち用編成の一部を組成するN183とNN183が、他線区に押し出されると 予想される上、宗谷本線系統は需要が需要なのでせいぜいサロベツをNN183に変えることがあるかも 知れない(置き換え時にサロベツ専用車化改造が必要なので全車NN183化の可能性は低い)ことと1編成 増が考えられる程度と、石北本線のキハ183系がN183以上のみで統一される時は現実のものとして 見えつつあります。
 そんな中で、N183化のみならず、一部列車にキハ261系を入れてみたらどうなるか……それを 考えて計算してみることにしました。

 線路条件については高速化対応改良のみ、基本的に線形は弄らないこととしてあります。

車輌  運行ダイヤ  比較  総括



●車輌
 
 ○キハ261系
 (基本)
 ←遠軽         札幌・網走→
12 34
McS
261200
M2
260200
m1
260100
Mc
261100
G指
9名 28名 60名51名 56名
 編成定員204名(普通席195+グリーン席9)

 (最大増結)
 ←遠軽                          札幌・網走→
増21増22 12 34 56
McS
261200
M2
260200
McS
261200
M2
260200
m1
260100
Mc
261100
m1
260100
Mc
261100
G指 G指
9名28名 60名 9名28名 60名 51名56名 51名 56名
 編成定員408名(普通席390+グリーン席18)
 基本編成はスーパー宗谷と同一でもオホーツクとして定員に大きな変化はないので妥当な所だろう。
 編成向きは他線区と共通となるように敢えて変更した。

 ○キハ183系(N183・NN183)
 (基本)
 ←遠軽           札幌・網走→
12 34 5
mc
1831500
1833550
M
182500
1822550
Ms
182500
1822550
M
182500
1822550
mc
1831550
1833550
G指
68名68名 24名 68名 68名
 編成定員296名(普通席272+グリーン席24)

 (最大増結)
 ←遠軽                  札幌・網走→
12 増21増22 34 5
mc
1831500
1833550
M
182500
1822550
mc
1831500
1833550
M
182500
1822550
Ms
182500
1822550
M
182500
1822550
mc
1831550
1833550
G指
68名68名 68名68名 24名 68名 68名
 編成定員432名(普通席408+グリーン席24)
 基本編成の輸送力はやや過剰だが、こうでもしないとNN183に大量の予備車が発生する上に 半室グリーン化改造も必要になる。最大増結編成は輸送力こそほぼ現状通りだが、このままでは やや出力が落ちるのが問題か。
 因みに現行通りの仕様でジョイフルトレイン仕様以外の183系を全て石北・宗谷 系統に集めてこの編成を組んだら130km/h対応編成3本+120km/h対応編成3本を 作れるが、キハ183-1550及びキロ182-500の内から2両ずつに130km/h対応改造を 行えば(以前行われた3550代化及び2550代化と同じ)、130km/h対応編成5本+120km/h対応 編成1本となるので運転本数を増やさなければ全列車130km/h運転も視野に入る。
 なお、夜行で連結する14系寝台客車に130km/h対応編成との連結を可能とする改造は 何れにせよ必要になる。


 ○キハ183系(N183・NN183)+14系寝台客車
 ←遠軽               札幌・網走→
12 34 56
mc
1831500
1833550
M
182500
1822550
Tn
14500
 
Ms
182500
1822550
M
182500
1822550
mc
1831550
1833550
G指
68名68名 28名 24名 68名 68名
 編成定員324名(普通席272+グリーン席24+開放B寝台28)
 充当編成によっては130km/hのみ対応の車輌とも組まなければならないので、ブレーキに 再改造が必要となる。所要時分減は特に求められないので、最高速度は 現行通り95km/hのままで良いだろう。
 200番台車を組み込めば出力重量比は上がるが、130km/h車との混結ができないのでそれは考慮しない。


●運行ダイヤ
 最高速度は新旭川〜北見間で130km/h、北見〜網走間が120km/hとする。
 常紋峠付近のみはN183とNN183で明らかな差が生じるが、それ以外の区間では基本的にNN183を 用いる必然性は見受けられなかった。石北本線の線形では出力が過多気味なので、線形の 良い区間で130km/h運転を行う以外の効果は小さいものに留まる。  特急「名寄」の2往復新設、それに伴う快速「なよろ」→「しおかり」の名称変更。バランスの 取れた設定になるように快速の時刻変更、新設列車との待避・接続に合わせて一部の普通列車の 時刻変更。
 変更点は以上で、ダイヤグラムは以下の通り。
スーパーオホーツク:水実線(太)━━ オホーツク:緑実線(太)━━
スーパー宗谷:青実線(太)━━ サロベツ・利尻・名寄特急:赤実線(太)━━
SWA・ライラック:紫実線(太)━━ 特快きたみ:黄実線(細)──
快速しおかり:水実線(細)── 普通:白実線(細)──
 多度津〜松山間で線路改良により10分弱、停車駅の見直しで10分強の短縮が図られた。が、高速 バスや中距離航空に対する競争力を考慮するとやや足りない。



●比較
 数字を一通り纏めておこう。 但し、宇多津以北については先の四国横断新幹線に 準ずる。停車時分は多度津1分0秒、他30秒。
 標準停車駅は岡山、宇多津、丸亀、多度津、詫間、観音寺、川之江、伊予三島、新居浜、伊予 西条、壬生川、今治、松山。
 速達列車停車駅は岡山、丸亀、多度津、観音寺、伊予三島、新居浜、今治、松山。
 所要時分は各条件最短の数値であり、実際には交換等により5分前後の増加が見込まれる。
 また、改良前の数値は先の四国横断新幹線(宇多津以北)のものとする。
区間 キロ程 所要時分 表定速度 備考
改良前 改良後 改良前 改良後 改良前 改良後
標準 速達 標準 速達
宇多津〜多度津 6.8km 0:07 0:06 58.3km/h 68.0km/h  
多度津〜新居浜 70.4km 67.9km 0:46 0:43 0:3930 91.8km/h 94.7km/h 103.1km/h  
新居浜〜今治 41.8km 0:2830 0:2430 95.8km/h 102.4km/h  
今治〜松山 49.5km 44.0km 0:34 0:2730 87.4km/h 96.0km/h  
四国内計 168.5km 160.5km 1:5730 1:48 1:3730 86.0km/h 89.2km/h 98.8km/h  
新大阪〜松山 376.1km 368.1km 3:17 3:07 2:56 114.5km/h 118.1km/h 125.5km/h  
岡山〜松山 215.2km 207.2km 2:19 2:09 1:58 92.9km/h 96.4km/h 105.4km/h  
 多度津〜松山間で線路改良により10分弱、停車駅の見直しで10分強の短縮が図られた。が、高速 バスや中距離航空に対する競争力を考慮するとやや足りない。


●総括
 輸送力については、特急1本/時のフリークエンシーがある線区なので決して軽視 できない。最低限倍近い定員を確保できる編成長か2本/時の運行を可能とする設備に しなければ、繁忙期の大混雑は必定だろう。並行する定期高速バスが2〜3本/時ある区間で あり、それ相応の潜在需要は存在する筈である。
 もしも在来線を流用せずに、これをフル規格新幹線で建設したら費用が1兆を超えることは 想像に難くない。2020年代辺りだろうか、基幹となるべき大幹線の建設が終わった後は、各地で 枝葉となる幹線・亜幹線の高速化が行われる筈である。その時には、状況に照らして必要十分 ならば将来更なる高速化を行う際に無駄設備とならないだろう程度のものに留めて、必要以上の 出費は避けるべきではないだろうか。

 また、対京阪神及び岡山については前述の通り十分な競争力を得るが、一方でスーパー特急化 してもなお対高松ではやや弱い。これを解決する為には160km/hを軽々と出せる狭軌DC1500V特急車を 新造した上で高松〜坂出間適宜区間に高速新線を加える必要があるが、これで短縮できるのは せいぜい10分。車輌側は8000系のMT比を2:1にすれば済む程度のことなのでそう大した ものでもないだろうが、問題は地上設備である。果たして、この10分は数百億を追加投資 するほどの意味があることなのだろうか?

 ともあれ、部分的な高速新線の建設でもこだまクラスの「特急」は実現するわけで あるし、それによって競合交通機関の相当量乗客を奪えるのである(場合によっては対伊丹の 航空路線を潰せる)。
 十分、検討に値する路線だろう。
常紋峠短絡は旅客列車に対しての効果こそ然るべき車輌が投入されていれば そう大きなものでもないが、貨物列車については相当の効果が期待できる。 モーダルシフトどころかモータリゼーションが進行してしまった、という 事態にならないための対応策として考慮する余地もあるのではないだろうか。 30億円/kmで建設できても300億円近くなるので

○履歴
 立案:9/下旬
 着手:10/3
 車両条件・線路条件:10/7
 基準所要時分:10/9
 DinDIA打ち込み:10/19
 完成・公開:10/


参考資料:○ルート・線路条件等
      JR時刻表、Mapion、
      日本鉄道名所1函館線・根室線・宗谷線(小学館、1987年)、
      JR・私鉄全線各駅停車1北海道630駅(小学館、1993年)、
      Wikipedia(宗谷本線、石北本線)
     ○現状ダイヤ資料
      JR時刻表2005年7月号、鉄道ダイヤ情報2005年9月号、ANA及びJAL時刻表2005年11月号
     ○車輌資料
      鉄道ファン2000年3月号、鉄道ジャーナル年月号及び年月号、etc.
      特に
      (以上敬称略)
※執筆中BGM:MY HOME, SWEET HOME(植松伸夫、1992年)
        AS I FEEL, YOU FEEL(同、1992年)
(C)2005 far-away(◆farawagyp.)


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