四国横断新幹線(の一部)
 本来標準軌と狭軌の複々線で設計されている瀬戸大橋ですが、現在は狭軌の内側2線部分 のみが使用されています。しかし、本四連絡特急には将来のGCT導入が有望視されており、折角標準軌で走行できる ものをわざわざ狭軌で走らせて鉄道部分の半分を殺したままにしておくのは勿体無いのではないか、と考えた末に こうして考えてみることとなりました。
 なお防音については、緩衝ゴム敷設や周辺住宅への防音工事施工等によって一通りの目処が立っていることを前提と しています。

ルート  (輸送力  車輌  駅詳細)  基準運転時分・所要時分  建設予算  総括



●ルート
 山陽新幹線の岡山下り方4.6km付近に於いて例によって38番分岐器で分岐、暫く併走しながら20‰下り 勾配で地下に潜り、分岐起点1.6km付近からR1600で南側に曲がる。宇野線久々原に向かい、茶屋町を経て 地上に上がり、既存設備を最大限活かしつつ宇多津直前まで本四備讃線と併走する。
 軌間変更後、宇多津の在来線ホームに進入してここで扱う区間は終了である。岡山〜宇多津間の 総延長は46.7km。



●輸送力
 事実上単なる線増なので、割愛する。



●車輌
 以前のフリーゲージトレイン考察に於けるEMU6連を以って代える。



●駅詳細
 途中駅なし。岡山及び宇多津は現状を以って代える。



●基準運転時分・所要時分
 最高速度は地上部及び地下部で頭打ち275km/h、橋梁部で160km/hとした。但し、270km/hを 出せるのはほんの1分半弱の事である。
 軌間変更の所要時分は2分、余裕時分は1分30秒を取った。

 なお、山陽新幹線内の所要時分は現行300系各停、宇多津以西の所要時分は現行8000系の数値を使用した。
岡山
からの
キロ程
新大阪
から
キロ程
駅間
キロ
駅  名 基準時分 停車駅間
平均速度
新大阪から
/までの到達時分
駅  名
下り 上り 下り 上り 下り 上り
160.9
75.0
0.0
46.7
53.5
77.3
123.9
165.7
215.2
0
75.0
160.9
207.6
214.4
238.2
284.8
326.6
376.1
85.9
75.0
46.7
6.8
23.8
46.6
41.8
49.5
新 大 阪
姫   路
岡   山
宇 多 津
多 度 津
観 音 寺
新 居 浜
今   治
松   山
31'15
24'30
19'45
0:07
0:14
0:31
0:31
0:37
31'15
24'30
20'15
0:07
0:14
0:31
0:31
0:37
164.9
183.7
141.9
58.3
102.0
90.2
80.9
80.3
164.9
183.7
138.4
58.3
102.0
90.2
80.9
80.3
0'00
31'15
56'45
1:18'00
1:26
1:44
2:16
2:48
3:26
0'00
31'15
56'45
1:18'30
1:26
1:44
2:16
2:48
3:26
新 大 阪
姫   路
岡   山
宇 多 津
多 度 津
観 音 寺
新 居 浜
今   治
松   山
 岡山〜宇多津間で12分、岡山での緩急接続をきちんと行えば乗換え時分の消尽で約5分。現行 比15分強の所要時分短縮を実現できることになる。
 高速バスとは明確な棲み分けが可能だが、航空の大阪都心部〜松山市内間と1時間程度の 実所要時分差があるのが少々辛い所か。



●建設予算
 さて、建設費を概算してみよう(表中単位:億円)。
箇所 延長 工費(km単価) 工費(区間計) 備考
新幹線分岐〜児島 24km 40 960 新幹線規格新線
児島〜橋梁南端 13km 10 130 用地・構造物は既存設備流用
橋梁南端〜宇多津 5km 30 150 新幹線規格簡易新線(Max160km/h)
軌間変更装置 1組 100 100 複線分
42km   1340  
 この内軌間変更装置及び本四備讃線横付け部分の計230億円は別枠会計から出せないこともない だろうが、残る1110億円は新幹線財源から捻出しなければならない。正直、これだけの効果で 済ませるには惜しい投資だろう。

●総括
 この通りであれば結構な経費が掛かるものの、曲線条件等は新幹線規格に拘らず極力宇野線の標準軌線増で 済む様に張り付けば4〜500億円は節約する余地がありそうである。この場合でも輸送力の向上と若干(2〜3分)の 所要時分減は可能であるし、思い切って宇野線内を三線軌と狭軌での複線にしてしまえば上記960億円 相当部分はほぼゼロとなる。ただ、現状輸送力のネックは宇野線内でありこの部分の増強が必要不可欠だとは いえ、それ以上の増強が必要かと問われれば疑問を抱かずには居られないのも事実である。
 もし本四備讃線内を複々線化する必要に迫られる時が来るとすれば、特急を本格的に高速化して マリンライナーや貨物と分離運行する必要が生じた場合くらいのものだろう。


○履歴
 立案:2005/4/下旬
 着手・線路条件:5/上旬
 基準所要時分・完成・公開:5/30


参考資料:○地形条件・現状建造物状況
      Mapion
     ○現状ダイヤ・路線・橋梁部設計速度資料
      JR時刻表、Mapion、
      本四連絡橋の海峡部長大橋梁の耐用年数
       (国土交通省第10回道路資産評価・会計基準検討会資料、2004年)

     ○車輌資料
      自筆ノート、新幹線はもっと速くできる(川島令三、1999年)、鉄道ジャーナル93年6月号
      (以上敬称略)


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