北海道新幹線想定ダイヤ Vol.3
 騒音面で難儀してはいるようですが、とりあえずとコスト次第という形で技術的に目処が 立っているらしき範囲である、営業365km/h(設計405km/h)対応車両を投入するだけで北海道新幹線はこういう代物に なる、ということを示すために以前書いてみたものの改訂版です。
 車輌条件を再検討した他、詳細な勾配図が入手できない盛岡以北(海峡線及び札幌直近を除く)の勾配を 環境影響評価書や自治体・JV等の公開資料を利用するのみならず地形図と対比させて再検討したり等、一般人の 立場でしか資料を入手できない中ではありますが精度をもう一段求めてみました。

車輌  基準運転時分  曲線通過速度  併結位置  運行ダイヤ



●車輌
 必然的に、JR東日本が投入したE954系及びE955系の試験結果により製造される営業車を想定することになる。フル 規格320km/h対応車を新青森開業までに投入することが発表されており、これがE5系になると考えられるので360km/h対応の フル規格及び新在直通車輌は、ここではひとまずE7系及びE8系と仮称しておく。
 (※まだ広報されてはいないが、とりあえず320km/h対応新在直通車がE6系として製造される可能性を 見込んでおく。二階建で軸重16tから大きく減らせる予測が立たない以上、Max新形式の線は無視。昨今を見るに、抜本 改良でなければE4-1000とされそうな気が)
 これらは以前の案では500系を基本として、高出力化、車体制御の追加、道内レベルの耐寒耐雪構造を 軸としたが、ここでは更にE954系及びE955系の実車概要を参考として取り込んでいく。
 MT配置はE955系同様、両端台車のみ付随台車として他を全て動力台車とする(実質9M1T)。最後部になった際は引張力を 有効に使える筈ではあるが、E954系及びE955系の実車が370kWの誘導電動機や355kWの永久磁石同期電動機といった先の想定 よりも更に高出力の電動機を搭載していたことから、付随台車を加えても同等の出力は確保し得ると判断した。但し 構成を全電動台車として、最前部台車のみ使用しないという形で最後部台車を有効利用するのも一手である。

 運転曲線算定に用いる積車質量は200%乗車時のものを用い、(688-1323×0.055)×10/16+724×0.11≒464tから480tと する(10両編成)。E954系及びE955系の実車は平均軸重11.5tとのことではあるが、ある程度の余裕を見込んで平均12tと 設定しておく。性能をマイナス側に傾けた想定であれば、実現可能性はより高まるということも一因である。
 勾配による影響を最小限に抑える為に、力行性能は同じく上り15‰均衡355km/hを基準に算定した。但し今回は、500系の 走行抵抗曲線をできる限り正確に式に落としたので、前回に比べ走行抵抗に速度域によって最大で数%の差が生じて いる(特に100〜200km/h付近の乖離が大きい)。この部分をカバーし得るように条件を変えてみた結果、誘導電動機で 効率0.92と置けば連続定格380kW、常用過負荷率20%で全速度域に於いて先の想定以上となることを確認できた。
 これより、速度種別U84、明かり平坦線均衡446km/h、明かり15‰登攀均衡359km/h、明かり20‰登攀 均衡331km/h、隧道12‰登攀339km/h。
 但し、先の例同様軸出力から動輪までの間の機械損及び回転損は見込んでいない。この分、質量を重めに取った分との 相殺をするか場合によっては出力増または前述の最後部台車有効利用辺りが必要となるかも知れないが、これは概ね 調整程度の範囲だろう。
 また、トンネル内の走行抵抗は500系の値でなく、あくまで0系等の数値を参考にした推定値に過ぎない。
 運転最高速度は365km/h。780mm時に365km/hまで定出力領域を確保するとなると、例えば780mm時に332km/hまで、820mm時 に349km/hまで引張力を1.1倍とする増加速設定を付加することも考えられる。定出力領域の上限を820mm時に405km/hと 置けば780mm時に同じく385km/hまで、増加速1.1倍であれば780mm時に350km/h、820mm時に368km/hまでとなる。
 ここではこれらを用いずに運転曲線を引くものの、連続20‰以上の登攀を考えればこれらも選択肢として 検討し得るものだろう。
 360km/h定速走行時の負荷率は対定格で明かり65%、トンネル内92%。常用過負荷率の数値を上げた影響で こちらもやや上がってしまったが、欲を言えばもう少しだけ余裕が欲しいものだ。

 機器配置は柔軟に。1〜3/4〜5/6〜7/8〜10号車の4ユニットに分割し、両先頭車はE955系を参考に片側のみを 動力台車としておいた。主変圧器各ユニット1基、個別制御として機器配置を考えると下図の通りとなった。個別 制御としたのはあくまで対応関係が判り易くなるからであって、個別制御でなく1C2Mまたは1C4M等でも支障が無ければ 取り得ることは言うまでもない。因みに今回常用パンタは14号車の1基のみとしたが、故障時に備えて18号車にも 予備パンタを一応備えておく。
 起動加速度は、やはり2.5km/h/sである。
 当然全車フルアクティブサスペンション、車体傾斜機構(2.5度)、車体間ダンパ装備及び断熱防音強化を施し、また 着雪対策としてドアのみならず連結器カバー周辺にもヒータを装備とする。実車が車体の一部にまで着雪防止の ヒータを装備しているので、現行ミニ編成で連結器カバーの開閉不良が起きていることも鑑みればこの程度は当然と 見て良いだろう。

 ○E7系10連(併結装置有)
 運用の柔軟性等にも配慮し、ミニ6連以上の併結が可能な最長編成である10両編成に統合することにした。
 ←東 京                                 札幌→
1112 1314 1516 1718 1920
Mc
E721
M1
E725
M2
E726
M’2
E7264
M1
E7254
M1s
E715
M2sk
E716
M'2
E7262
M1
E7252
Mc
E722

2M
CI
6C4M
TrCI
4C4M
Tr
4M
CI
8C4M
CI
8C4M
Tr
4M
TrCI
4C4M
CI
6C4M

2M
G指 G指
40名94名 85名94名 80名56名 51名95名 79名50名
 編成定員724名(普通席617+グリーン席107)
 併結位置をどうするべきか散々迷ったが、検討の結果位置は逆転させ、下り方にフル規格車輌を 置くこととした。具体的な検討内容は別途後述する。

 構成はあちこち変更しているが、サービスコーナーはグリーン車のグリーン室外に設置する 形で維持した。10両編成ではあるが、空路からの移転が相当数見込まれること、空席情報から 推察できる空路の席の埋まり方からグリーン車2両を確保し、反面普通席を確保するために サービスコーナーの位置を動かして均衡を図った。号車番号はフル編成中での位置が判り易い ように、現行つばさの例に倣い11号車より始める。
 グリーン車位置は、振動抑制を図り編成中央部付近としながらも、同ユニットに置くこと として中央から若干動いた16・17号車とした。
 また、車椅子用座席は12・14・17・19号車と設定。
 現行のE2系J編成とは逆に、上り方先頭部のみに併結装置を備える。

(2008/3/31:上級グリーン席発表を受けて追記)
 また、2008/3/31付発表のJR東日本長期経営構想に於いてE5系への上級グリーン席設置が発表された ので、これでどの程度の変化が生じるかを考えてみた。最大限と考えられる場合は次の通り。

・上級グリーン仕様(想定)
 ←東 京                                 札幌→
1112 1314 1516 1718 1920
Mc
E721
M1
E725
M2
E726
M’2
E7264
M1
E7254
M1s
E715
M2sk
E716
M'2
E7262
M1
E7252
Mc
E722

2M
CI
6C4M
TrCI
4C4M
Tr
4M
CI
8C4M
CI
8C4M
Tr
4M
TrCI
4C4M
CI
6C4M

2M
HG指 G指
40名94名 85名94名 80名21名 51名95名 79名50名
 編成定員689名(普通席617+グリーン席51+上級グリーン21)

 上級グリーン席(HGで表記)の仕様を3列独立、リクライニングとフットレスト合わせて150〜180度程度までシートを 展開できることを前提に、シートピッチを2倍(1160mm→2320mm)にした結果、16号車の定員は21名まで減少した。30往復として 一日当たり2100名の輸送力減、率にして6.1%である。最大でもこの程度の変化であれば、運行本数を確保することで 最繁忙期以外はどうにか対応できるのではなかろうか。寧ろ、PR次第では北斗星等の様にプラスのイメージが 上級グリーン利用以外の乗客までをも誘引することも考えられ、航空対抗の上で大きな効果を生むことが期待される。
 上級シートの例としてよく挙げられるANAのフルフラットシート自体は真似するべきものではないと思うけれども、シェルは シート展開時のリラックスへの効果が実体験上絶大だったので(※)、787系DXグリーンレベルのシートを縦に連ねるので あれば、衝立等は採用しても良いものだろう。
 (※:国際FではなくNH2179での利用ながら、正直開放Bネのカーテン閉と大差ない感覚だった。国内線運用であり 消灯されない状況での感覚なので、新幹線に採用される場合の感覚にはかえって近いのではないだろうか)


 ○E8系7連
 それともう一つ、新在直通併結用車輌も。こちらはE955系同様の発想で、性能に関わる点の構成は基本的にE7系同様 とする。MT比はやはり、両端台車のみ付随台車とする実質6M1Tの全M構成。下り方先頭部のみに併結装置を備える。
 編成長については、E7系10連を254mとすると、先頭車23m中間車21mで7連なら405mになることから7連とした。併結 すると700系16連を上回る新幹線史上最長の編成となるが、410mに十分収まる範囲であれば特段問題ないだろう。

 機器配置は、柔軟に。両端から3両ずつを1ユニットとして構成することはE955系同等としながら、主変圧器の容量に 配慮して4号車を独立させ、1〜3/4/5〜7号車の3ユニットに分割し、両先頭車はやはり片側のみを 動力台車としておいた。主変圧器各ユニット1基、個別制御として機器配置を考えると下図の通り。パンタは在来線を 考慮して3号車及び5号車の2基とした。
 その他はE955系実車及び前述のE7系に準ずる。

 ←東 京・秋田              大曲・新青森→
12 34 56 7
Mc
E823
M1s
E815
M’2
E826
M2
E827
M’2
E8262
M1
E825
Mc
E824

2M
CI
6C4M
TrCI
4C4M
TrCI
4C4M
TrCI
4C4M
CI
6C4M

2M
G指
32名31名 67名64名 68名 47名32名
 編成定員337名(普通席306+グリーン席31)
 グリーン車及びサービスコーナーは2号車に設置。つまりグリーン車設備の構成はE955系実車そのままを イメージした。また、車椅子用座席は2・3・7号車と設定。自由席は設定せず、現状通り特定特急券での 対応に委ねる。

 E8系7連336t、E7系10連480t仮定で計算すると、質量当たりの表面積が小さくなることで、質量当たりの 出力に劣るE8系の方が微妙に加速余力が大きいという結果となる。従って、E8系の新幹線上単独走行に ついても出力面で危惧することはない。併結360km/h定速走行時の負荷率は対定格で明かり62%、トンネル 内88%と求められた。単独時は同59%、84%。
 在来線直通用のみならず、分割併合により列車密度の高い区間で速達と緩行とを集約することをも 視野に入れたものである。



●基準運転時分
 以上より、E7系単独時及びE8系併結時共に定加速度領域に於いて走行抵抗を一切差し引く前の 加速度2.50km/h(0〜163km/h)、定出力領域に於いて同じく加速度(407.8/V)km/h(163km/h〜)、常用最大 減速度2.7km/h(0〜70km/h)+μパターン制御(70km/h〜)で運転曲線を計算。均衡速度は前述の通り。
 運転曲線は1m単位、速度の上限は制限速度-5km/hまたはATC頭打ち速度-5km/hの低い方とし、加減速時の運転曲線は 台形公式(d=0.01km/h)により加速度式を積分して求めた。札幌開業時想定なので全区間DS-ATCとしてある。
 また、粘着条件の悪化する積雪時等には空転の恐れが若干存在するが、新幹線の計画粘着式と比較しての 差が最も大きい163km/h付近でも2.5km/h/sに対し0.75km/h/s程度の差に過ぎず、また高速になるにつれ差が減少し 特に重要となる330km/h以上では16%以下となるので、ダイヤ作成の段階ではセラジェット噴射を含む増粘着で 対応できる範囲とみなしてしまっても良いだろう。そもそも勾配区間の殆どはトンネル内となるので、この点からも 多少の差であれば概ね許容範囲であるとみなすことができる。
 更にE954及びE955の研究報告類に拠れば、先頭付近の駆動制動力を抑え後方を増す制御を行うことで、6M2Tで も計画粘着式の1.25倍程度であれば十分に期待できることが伺える。これにより、更に各台車のトルク配分(N700関連 の資料も参考とした推定)を、両端台車のみを付随台車とする9M1Tに適用してみたところ、対動軸荷重比で計画粘着 式の127.78%の粘着性能という数値が導けた。
 ○6M2T
12345678動軸数計/動軸数
040801201201201200600 6×4100/4
0501001501501501500800 6×4125/4
 ○9M1T(軸トルクを1号車=2号車、9号車=10号車とする)
12345678910動軸数計/動軸数
20408012012012012012012060920 9×4102.22/4
2550100150150150150150150751150 9×4127.78/4
 理想的に過ぎるかも知れないが、以上により計画粘着式を若干超えた加速での算定を許容することにして 以下試算を行う。

 なお走行抵抗を考慮したのは基本的に力行時と惰行時のみで、制動時には連続下り勾配の場合を除き走行抵抗の 効果を無視して、能動的な制動力のみでの計算としてあるので、実質的には走行抵抗の内車輪の粘着力に 依らない分(空気抵抗等)だけ減速力に余裕がある。但し連続下り勾配での相当速度制動の場合、考慮しないと制動距離が 不必要に長くなるので、平坦線且つ走行抵抗を考慮しない場合を下回る減速度となる場合に限って、2乗項のみを 加味しておいた。
 勾配抵抗は式に含めたが曲線抵抗は考慮しておらず、特に主要駅前後の急曲線ではある程度の誤差も見込まれる。
 また、高速運転区間に於けるごく短距離の急勾配(実質的に規格内の急勾配)については、計算した所力行継続に よって数km/hの速度低下で済む程度と判断できる箇所に限って所要時間算定上無視している。

 まずはE7系使用速達列車(6駅停車)の場合の算定から。なお駅名黒字が停車駅、赤字が通過駅である。
 E8系併結の際もこれに準じる。
東京から
の実キロ
駅間
キロ
駅  名 駅間
最高
速度
運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
定速
区間
加減速区間
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
0.0
3.6
31.3
80.3
109.0
152.4
178.4
213.9
255.1
286.2
325.4
363.8
385.7
406.3
431.3
448.6
463.1
496.5
527.6
562.2
593.1
629.2
674.9
713.4
776.4
788.2
823.8
877.9
911.0
965.1
1003.1
1035.1
3.6
27.7
49.0
28.7
43.4
26.0
35.5
41.2
31.1
39.1
38.4
21.9
20.6
25.0
17.3
14.5
33.4
31.1
34.6
30.9
36.1
45.7
38.5
63.0
11.8
35.6
54.1
33.1
54.1
38.0
32.0
東    京
上    野
大    宮
小    山
宇  都  宮
那 須 塩 原
新  白  河
郡    山
福    島
白 石 蔵 王
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七    戸
新  青  森
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
新  八  雲
長  万  部
倶  知  安
新  小  樽
札    幌
95
160
320
320
360











360
365












365


5'28

4'24
6'00
6'58
5'15


7'11

7'09

2'27


5'46
5'09
6'01



1'58


5'31
9'01
6'20
3'15
13'30
10'48

7'24




9'25
8'15





7'26
7'00



9'29
8'00
10'46

7'45
12'43

9'05

8'11
3'14
13'21
10'59

7'22




9'13
8'26





7'06
7'01



9'28
8'15
10'45

7'26
11'26


6'23
8'07
1'00
1'30
1'00






0'30
1'00





0'30
1'00



0'30
1'00


0'30
1'00



0'30
1'00
1'30
0'30






1'00
0'30





1'00
0'30



1'00
0'30


1'00
0'30



1'00
4'15
15'00
11'45
5'30
7'30
4'30
6'00
7'00
5'15
10'00
9'15
7'15

7'00

2'30
8'00
8'00
5'45
5'15
6'00
10'00
9'00
11'00
2'00
8'15
13'45
5'30
9'00
6'30
8'45
4'15
15'00
11'30
5'30
7'15
4'30
6'00
7'00
5'15
10'15
9'00

7'15

7'15
2'30
8'00
7'30
5'45
5'15
6'00
10'30
8'45
10'45
2'00
8'30
12'00
5'30
9'00
6'30
9'15
4'15
15'00



57'30







34'00





35'00



30'15




43'30

4'15
15'00



57'15







34'00





35'00



30'00




42'15

50.8
110.8



306.9







301.9





305.8



295.3




291.4

50.8
110.8



308.2







301.9





305.8



297.8




300.1

3:28'39 3:26'50 10'00 3:39'30 3:37'45   282.9 285.2
 東京〜上野間の95km/h、上野〜大宮間の160km/h、大宮〜宇都宮間の320km/h、駅進入速度65km/h、ホーム 有効長410m、及び構内配線の長い大宮と東京に限り徐行区間を長く取ったことは以前と同様である。
 一方、盛岡以北については365km/hに引き上げた。
 その他、走行抵抗及び線路条件に微調整が加わったことにより再計算した結果、一部区間で最高速度による以外の 変化を生じている。特に新函館→新八雲間について大きいが、これは以前勾配の影響の評価ミスをしていたことが 原因である。また、青函トンネルの12‰連続登攀は均衡339km/hより、十分に均衡速度に近付いた後は335km/h定速として 計算した。
 長万部〜倶知安間及び倶知安〜新小樽間では運転曲線上の所要時分の記載が定速と一方の加減速の双方に入って いるが、これは勾配の向きの都合上、前者の上り列車及び後者の下り列車は定速で計算できるが、逆方向では勾配による 影響を受けて速度が低下してしまうためである。

 青函トンネルでの在来線貨物とのすれ違いについては、防風壁及びTOT導入により新幹線列車を最高365km/hのまま 走行させるものと、貨物についてはTOTではなく従来のコキ牽引として新幹線列車を新在併用区間に於いて 最高275km/hに抑制するものとの2つを挙げておく。前者は上記の通り、後者は新青森〜新函館間無停車の場合に ついて次に記す。
駅  名 駅間
最高
速度
運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
365
275

275
365
6'40
1'59
14'01
2'38
7'59
7'02
1'59
14'01
2'38
7'37
1'00



0'30
0'30



1'00
7'45
2'00
14'15
2'30
8'30
7'30
2'00
14'00
2'30
8'45


35'00



34'45



255.3



257.1

33'17 33'17 1'30  
 以上の通り、275km/hへの減速により上下とも4分45秒の増加となる。

 また、全区間E7系単独運転の列車が盛岡を通過する場合を考えると仙台〜新青森間は次の通り。
駅  名 運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
定速
区間
加減速区間
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七    戸
新  青  森

7'11

7'09

2'27


5'46
5'09
6'01

8'15





5'59
6'19



9'29
8'26





6'00
6'18



9'28
1'00










0'30
0'30










1'00
9'15
7'15

7'00

2'30
6'00
6'30
5'45
5'00
6'00
10'00
9'00

7'15

7'15
2'30
6'00
6'30
5'45
5'00
6'00
10'30





1:05'15










1:05'45










321.4










318.9





1:03'45 1:03'55 1'30  
 仙台〜新青森間に於いて、盛岡停車に比べ停車時間を除く走行時間で下り3分45秒、上り3分15秒が短縮される。
 また盛岡の通過速度は、下り方にあるR1000の曲線による制限の影響で約220km/hと算定される。これならば 通常の可動柵程度の高さで十分役を為し、丈のあるホームドアまでは必要無い。

 新青森通過の場合を考えると、盛岡〜新函館間は青函間の最高速度を365km/hまたは275km/hとすると それぞれ次の通り。
 ・365km/h
駅  名 運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
定速
区間
加減速区間
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七    戸
新  青  森
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館

5'46
5'09
6'01



1'58

7'00



8'02
6'27
10'46

7'45
7'01



8'04
6'27
10'45

7'26
1'00







0'30
0'30







1'00
8'00
5'45
5'15
6'00
8'15
6'30
10'45
2'00
8'15
7'30
5'45
5'15
6'00
8'15
6'30
10'45
2'00
8'30




1:00'45







1:00'30







323.3







324.6



58'54 58'37 1'30  
 ・275km/h
駅  名 運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
定速
区間
加減速区間
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七    戸
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館

5'46
5'09
6'01


1'59
14'01
2'38

7'00



8'02
5'07



7'59
7'01



8'04
5'13



7'37
1'00








0'30
0'30








1'00
8'00
5'45
5'15
6'00
8'15
5'15
2'00
14'00
2'30
8'30
7'30
5'45
5'15
6'00
8'15
5'15
2'00
14'00
2'30
8'45




1:05'30








1:05'15








299.8








301.0




1:03'42 1:03'29 1'30  
 盛岡〜新函館間で、青函間365km/hの場合または275km/h制限の場合の何れに於いても、新青森停車に比べ 停車時間を除く走行時間で下り4分15秒、上り4分30秒が短縮される。
 新青森の通過速度は、上り方にあるR2500の曲線による制限の影響で約335km/hと算定される。この速度域に なると、縦深のある島式ホームであっても丈のあるホームドアを必要とする可能性がある。

 更に上野通過とすると、東京〜大宮間は次の通り。
駅  名 運転曲線駅間所要 余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
東    京
上    野
大    宮
2'48
13'09
2'48
13'01
1'00
0'30
0'30
1'00
3'45
13'45
3'30
14'00

17'30

17'30

107.3

107.3
15'57 15'49 1'30  
 上下共に、上野停車に比べ走行時間が1分45秒短縮される。上野通過速度は90km/hを想定。



●曲線通過速度
 上野運転所以南及び仙台から北に500m程度の区間といった、回送列車が混じったり加速性能の都合上E7・E8系以外が 必然的に低速運転となる区間以外では全てカント200mmで計算してある。スラブ区間でのカント向上は少々面倒だが、消音 防音の為にスラブ自体を交換する可能性も考えれば前提としてしまっても良いだろう。また盛岡〜八戸間がカント200mmで 造られている以上、八戸以北もそうである事は想像に難くない。
 乗り心地限界速度はv=3.6{rg(sin2θ/2+0.08)}1/2で計算。r=曲線半径、g=重力加速度、θ=(カントに よる横方向軌道傾き+車体傾斜の総和)である。基準時間算定では全区間に於いて、この限界速度を5km/h以上下回り 且つ5km/h単位で最大となる数字を上限速度として使用した。
 この結果、代表例として横方向0.08Gとなる速度は以下の通りとなる。
軌道条件 車体傾斜角 備考
曲線半径 カント 0度 1度 2度 2.5度
420 155 76       これのみ0Gとなる場合の数字
上野〜日暮里間
500 110 100     112 仙台前後
200 117     128
600 155 119     132 大宮以南随所、札幌付近
200 129     140
800 200 149     162 大宮以南随所、札幌付近
1000 200 166     181 大宮以南随所、盛岡下り方
1400 200 197     215 仙台上り方
1500 155 189     209 大宮下り方
1600 200 210     229  
2500 200 263 273 282 287 盛岡上り方、青森上り方
3200 200 298     325 新函館上り方
3500 200 311     339 青森上り方
4000 200 332 345 357 363 青森上り方
6000 155 378 395 411 418 考慮する上限としての数字
200 408 423 437 445
 また、C200での365km/h走行に於いては車体傾斜角2.5度の場合R4050、2度の場合R4180で横方向定常加速度が0.08Gと なる。カント200mmで360km/h運転(頭打ち365)をする限り、これ以上の曲線半径の区間は直線と同じとして計算して 良い。反面この通りであるのでR4000での365km/h走行では横方向定常加速度が僅かに0.08Gを上回るが、振動加速度を 相当に抑えることで定常加速度を0.10G程度まで許容し得る可能性があるとの総研報告も存在するので、当試算では この程度は許容範囲として取り扱う。縦方向についても、全着席前提であるので簡略の為に同様とする。
 なお、C200のまま傾斜角2.5度の場合R5860まで、2度の場合R6140まで曲線半径を緩和するとこちらは365km/h走行に 於いて0Gとなる。つまりそれ以上の曲線半径ならば、理論上乗り心地に遠心力は影響しない。最小R6500という のは、この速度域での運転に妥当な線形ということになる。



●併結位置
 E7とE8の併結位置については散々迷ったが、盛岡以南を固定してまず干渉関係を整理してみると以下の通りになった。
  最低でも、盛八間無停車でなければ先行列車は逃げ切れない――(1)
   →速達ほっかい対はやこま、通常時は盛岡退避――(2)
    →輸送力の都合上、速達と緩行を分割する場合は先行する速達編成がミニであってはならない――(3)
     →この場合下り方フル、上り方ミニ――(4)
      →(1)(4)より、フルが緩急分併するならば下り方フルが要求される――(5)
   →(1)より、はやては無退避ならば盛岡以北速達、退避するなら盛岡以北緩行――(6)
    →退避ならこまちとの順序は問わず、無退避ならはやて先発――(7)
     →下り方フル、上り方ミニの場合に限り、はやては盛岡以北も速達サービスが可能――(8)
  (5)(8)より、はやての速達性維持には速達ほっかいが緩急分併するか、はやて以外の緩行列車を置く必要有
 といった具合で、ここからはやての遠距離速達性をどれだけ維持するべきか、輸送力はどの程度必要か、速達スジの 緩急分併による時間ロスはどの程度か、他列車に緩行の役割を担わせることが可能か、等といった点について 判断してみた。

 はやての遠距離速達性については、多客時の札幌延長運転を視野に入れる必要がある点ことから重視すべきと 判断した。また、準速達ほっかいの直前で雁行させずとも、新青森で退避すれば速達ほっかい直後の雁行で最小に近い 運転間隔が可能となる。このため、わざわざ必要以上に所要時分を延ばす必要性が大きく薄れた。
 輸送力については、いわて沼宮内〜七戸の乗客は速達ほっかい分割併合を要するほど多くないと判断 できる。但し、札幌発着の座席が東京・大宮〜仙台・盛岡間の区間乗客で埋まることへの対応としての盛岡以南 増結については検討の余地がある。
 速達スジの緩急分併による時間ロスは、下りはフル編成を下り方にした場合ごく僅かで済むのに対し、現行通りの 場合3〜4分程度となる。上りはフル編成を下り方にした場合でも無視できない程度に増えることが問題では あるが、現行通りの場合は当然の帰結としてそれ以上になってしまう。
 他列車に緩行の役割を担わせることの是非については、現行の古川〜新花巻に対する仙台緩急接続という例を 考えれば、いわて沼宮内〜七戸各駅への速達サービスは、わざわざ速達列車を直接停めずに盛岡で緩急接続できれば それで済むものである。なお、輸送力を考えればこの際盛岡までは新幹線内完結列車でも極力ミニ編成を 併結して16連化するべきだろう。どうせE3系は余るのだから。

 速達ほっかいを盛岡に停車させるのは遠近分離の点からは問題があるが、通過による短縮効果や需要から見ると こちらの方が好ましく、また青函間のみの利用客を速達から排除する効果も期待できる。
 結果、速達ほっかいを原則盛岡停車及び新青森通過とした上で、全時間帯ではやてを以前の案とは異なり 盛岡〜新青森間速達に、そして2本/時だった盛岡やまびこの半分を新青森まで各駅停車で延長することに した。この為、併結位置は現行とは逆転させ、フル編成を下り方に置くことにした。
 もっと思い切ったこともできることはできるのだが、そうすると青函間の貨物との干渉の都合上速達とはやこまの 雁行を捨てなければならなくなるので、旅客誘導の方を重視してそれは断念した。



●運行ダイヤ
 ここでは最高360〜365km/h運転の列車のみ記載。それ以外はダイヤグラムを以って代える。
 なお先行列車に対する365km/hでの最短続行間隔は4分0秒(限界2分17秒)、315km/hは3分15秒(限 界1分53秒)、275km/hは2分45秒(限界1分33秒)を確保した。

 ○下り
列車番号 9B 3055B 3055M 3105B 3105M 519G








9




55



55



105



105



519
東    京
上    野
大    宮
小    山
宇  都  宮
那 須 塩 原
新  白  河
郡    山
福    島
白 石 蔵 王
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七    戸
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
新  八  雲
長  万  部
倶  知  安
新  小  樽
札    幌


101330







111200






114730









125400




133900
95600
95945
101430
102615
103145
103915
104345
104945
105645
110200
111330
112245

113000

113700
113930
114830
115630
120215
120730
121330
122145
122700
122900
124300
124530
125530
130915
131445
132345
133015
===

82215
83815







93645






101230




104945




112615



120445
121530
81800
82315
83915
85100
85630
90430
90830
91430
92130
92645
93815
94730

95445

100145
100415
101430
102245
102830
103345
103945
105115
105900
110100
111515
111745
112715
114100
114630
115530
120545
===

















101600
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

84615
90215

92200





100430






104015




111730

113415

115415
120500
84200
84715
90315
91500
92300
93145
93615
94215
94915
95430
100600
101515

102230

102930
103200
104145
105000
105545
110100
110700
112315
113100
113515
115015
115515
===

















104400
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

131700
132700
134030
135145
140300
130100
131800
132800
134130
135245
===
大    曲
秋    田
        110700
113900
    114645
121845
   
所要時間 3:43'00 3:57'30 3:21'00 3:23'00 3:36'45 1:02'00
表定速度 278.5km/h 261.5km/h 186.2 241.5km/h 172.7 204.5km/h

 ○上り
列車番号 8B 3054B 3054M 3106B 3106M 510G








8




54



54



106



106



510
秋    田
大    曲
        72000
75515
    73900
81830
   
札    幌
新  小  樽
倶  知  安
長  万  部
新  八  雲
新  函  館
木  古  内
知    内
奥  津  軽
(新在分岐点)
新  青  森
七    戸
八    戸
二    戸
いわて沼宮内
盛    岡
新  花  巻
北    上
水 沢 江 刺
一  ノ  関
くりこま高原
古    川
仙    台
白 石 蔵 王
福    島
郡    山
新  白  河
那 須 塩 原
宇  都  宮
小    山
大    宮
上    野
東    京





101900









112545






120045







125930

131800
93645
94600
95230
100130
100700
102030
102915
103145
104545
104745
105300
110115
110715
111230
111815
112645
113445
113715

114430

115145
120015
121230
121745
122445
123045
123515
124230
124800
130030
131430
===

70800



74445




82030




85730






93400







103245
104845
105400
65800
70900
71815
72715
73245
74545
75430
75700
81100
81300
82200
83230
83830
84345
84930
85945
90800
91030

91745

92500
93530
94545
95100
95800
100400
100830
101545
102115
103345
104945
===
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

85500


















81545

83545

84715




93015






100545





104900

110815
112445
113000
80530
81645
82030
83645
83945
85430
90515
91115
91630
92215
93130
93945
94215

94930

95645
100715
101730
102245
102945
103545
104015
105000
105645
110945
112545
===
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

92800


















102100
103230
104600
105600
111100
101000
102200
103330
104700
105700
===
所要時間 3:41'15 3:56'00 3:34'00 3:24'30 3:51'00 1:01'00
表定速度 280.7km/h 263.2km/h 174.9 241.7km/h 162.0 207.8km/h
 以上を毎時一本ずつ運行、合間に各種列車を挟み込む形とした。なお、前述の通り全速度域で以前の想定を 上回る加速度の為、盛岡以南については以前の数値を流用した。青函間の新在併用区間は 最高275km/h(計算270)に抑えてある。
 速達列車については前述の通り会社境界を無視して新青森通過としたが、盛岡〜新青森間178.4km、新青森〜新函館 間148.9kmと大差はないので、盛岡または新函館で乗務を交代することとして東日本と北海道の分担列車を 割り振る手もあるし、または盛岡〜新函館間を運転士2名以上を含む計4名乗務として、新青森通過後に運転士が 交代するという手もある(東海道新幹線に於いて豊橋付近で行われている方法の変形)ので、協定如何の範囲内と 考えても良いだろう。

 列車愛称の定義は以下の通りとした。
ほっかい 東北新幹線内〜札幌間運転の列車
はやて (1)大宮〜仙台間無停車であり、札幌まで行かない列車
(2)仙台以北のみである運転区間に盛岡以北の東北新幹線内を含み、札幌まで行かない列車
やまびこ 福島〜仙台間を運転区間に含み、他の何れにも該当しない列車
なすの 福島以南のみを運転区間とする列車
ほくと 北海道新幹線内のみを運転区間とする列車
こまち 盛岡〜秋田間を運転区間に含む列車
つばさ 福島〜新庄間を運転区間に含む列車


 はやこまについては海峡線区間の線路容量と海峡間での特別料金不要特例を考慮し、盛岡以北では 停車駅をわざと必要以上に増やし遅くして、青函間での間隔をできるだけ狭めてある。
 また、盛岡〜秋田間の所要時分については車体傾斜作動時の数字とした。
 なお、道内運転の列車については速達運用の間合いで運転すると考えると、これでも日中の 札幌は1面2線+引上線1線で回せる。手順は次の通り。
時刻 1番線 2番線 引上線
00〜02分   ほくと:出発  
03分 ほくと:到着
10分
16〜21分  
13分 準速達:到着
20分頃 準速運用:引上線へ 準速運用:2番線から
34分 速達:出発  
35〜38分  
39分 速達:到着
45分頃 準速運用:引上線から 準速運用:1番線へ
56分 準速達:出発  
57〜59分  
 青地が速達運用、紫地が準速達運用の入線時間帯を表わす。

 更に、朝夕にはやてスジを札幌まで延長するとした場合、異状が発生しなければ 札幌は1面2線のみで回せる。手順は次の通り。
時刻 1番線 2番線
00〜12分   はやて延長:出発
13分 準速達:到着
15分
16〜21分  
22分 ほくと:到着
34分 速達:出発
35〜38分  
39分 速達:到着
44分 ほくと:出発
45〜53分  
54分 はやて延長:到着
56分 準速達:出発
57〜59分  
 青地・紫地が速達・準速達運用、赤地がはやて延長運用、黒地が道内運用の入線時間帯を表わす。


(動画GIFを作る時間が取れないので、他の2007.5作成済の部分のみ公開)
 更に、東京の交差支障についても併せて触れておく。
 現状配線では以下の通り、23番線に入線する場合を除いて同時発着が不可能である。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × × ×
22 × × ×
23

 しかし、21〜22番線間に片渡り線を1本加えると途端に柔軟性が増し、通常の2面4線配線同様の運用が可能となる。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × × ×
22 ×
23

 渡り線を更に1本加えると柔軟性が一層増して半分のパターンで同時発着が可能となるが、これは用地の都合上 困難という外ないだろう。ホームを数十m南側に動かすとなると、一体どれだけの費用が掛かることか。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × ×
22 ×
23
 下記のダイヤ案では、到着直後に他番線発車という形を取っており同時発着をできるだけ排しては いるが、ダイヤの柔軟性や異常時の回復力を考えれば、この様な配線改良を検討する余地もあることだろう。


 こうして勝手に想定したダイヤのダイヤグラムは次の通り。
ほっかい単独:青実線(太)━━ ほっかい+こまち:紫実線(太)━━ 速達系はやて+こまち:赤実線(太)━━
やまつば:緑実線(細)── ほくと:白実線(太)━━ 大宮発着:黄実線(細)──
やまびこ単独:白実線(細)── なすの:白実線(細)── 回送:薄灰一点鎖線(細)─ - ―
 (幾分全体像を掴みやすい高密度版はこちら)

 これは緩急分併及び延長運転を除いたほぼ最大本数の想定であって、時間帯によっては需要に応じて間引くべき 列車や臨時列車も含めてある。東京駅の容量や大宮以南線路容量の問題もあるので、現実には一部を臨時扱いに したりといった手段を講じるべきだろう(既に上記ダイヤには臨時前提のスジとして大宮発着列車が混じっているが)。
 待避線入出等の際分岐器制限は全て考慮済みである(盛岡も現行標識の80ではなく70で扱った)。また、福島では 配線を活かして二重待避も設定した。これで11番線も新在直通用に使用できれば、やまつばの所要時間をもう少し 縮められるのが残念でならない。
 盛岡以南では同時発車に見える箇所が幾つかあるが、通過列車を待避する際に限られており秒単位ではきちんと 間隔を空けてあるので実際には支障がないようになっている。
 緩急接続の確保と各列車の速達化を図り、純然たる各駅停車はなすの1本/時のみ、一方で盛岡・新青森やまびこを つばさと併結させずに2本/時とした上で、仙台〜盛岡間各駅停車の列車と小山・那須塩原・白石蔵王・くりこま 高原・水沢江刺のみ通過の列車とに役割を分散させてある。結果、小山・那須塩原以外の全駅で東京直通の 速達サービスを1本/時以上確保できた。
 なお、やまびこの内くりこま高原・水沢江刺通過の方は乗客の分散化を図るために上りの北上〜古川で意図的に スジを寝かせてある。

 盛岡での支障は、全種列車について原則停車としたことで365km/h通過前提の4分までは必要なくなり、僅かな ものに抑えられた。
 奥津軽〜竜飛海底間を270km/hで走行したときの所要時間が5分35秒、竜飛海底〜吉岡海底が5分7秒、吉岡 海底〜知内が4分34秒となることより、青函トンネル内の続行間隔は6分0秒に設定した。

 なおE2系では、八甲田トンネルの10‰拝み勾配が結構な負荷になってしまい、速度を十分に乗せることが できない。S84〜85程度になると推測されるE2系8M2T単独時の数値をそのまま用いることも検討は してみたが、トンネル内では走行抵抗の増加を考慮すると均衡速度の向上が僅かなものに留まった上に、そもそも 前述の通り盛岡以北は緩行運用になるので、こうした変更は特に行わないものとした。

 朝夕間に一部設定してあるはやてスジを延長した3本目のほっかいはあくまで延長したに過ぎない程度のもの なので、後続の速達ほっかいに抜かれて東京〜札幌間が下り4時間9分15秒、上り4時間5分15秒になって しまうが、速達ほっかいが満席の際にはこちらに誘導できるので相応の需要は得られると考えた。多少 遅くても良ければ指定席を確保できる、という選択肢を客に提示するのも必要なことだろう。無論、新青森で 後続列車に抜かれるという情報を明示しておくことは求められるだろうが。
 また朝夕間に新函館通過の速達ほっかいも一部設定して、東京〜札幌間下り3時間36分0秒、上り3時間35分0秒まで 縮めてみた。新函館への需要をはやて延長ほっかいに振り向けた状態で何処まで需要を見込めるかは 解らないが、変則的なのは木古内以北のみなので必要とあらば新函館停車のパターンへと簡単に戻せる。

 車両基地が七飯にあり札幌付近に少数しか留置できないことで、そのままでは朝間上り列車と夕間下り列車に 必要な編成数が確保できない。新函館〜札幌間の営業列車だけでは足りず回送を数本設定し、更に長万部及び 新小樽への夜間留置(倶知安は気候上好ましくない)を行う等して、漸く札幌7〜9時台発上り列車と21〜23時台着 下り列車の本数を確保できた。
 スジを立てても回送に40分以上を要するため、必然的に6時台発及び23時台着の列車は留置せざるを 得ず、加えて7〜9時台発及び20〜22時台着についても回送による補充を必要とする。この点も、将来的に ボトルネックとなる可能性がある。

 そして、散々考えてはみたものの、どうも盛岡で速達系と緩行系との分割併合を行う必要性が全時間帯に於いて 見えてこない。既に述べた緩急接続とはやこま雁行によって、東京・大宮対いわて沼宮内〜木古内間の需要は ほぼ無視できてしまうので、今更増結するまでもない。行うとすれば、多客期に区間運転車輌を盛岡で 増解結する程度だろうか。
 皮肉な話だが、東京口で3本/時の速達系スジを確保できたが故に最大限設定では輸送力過剰となって しまい、今度は可能な最大限のスジから間引かなければならなくなったのである。

 とりあえず、新青森以北に乗り入れる列車のみ最高365km/h、その他は275km/h止まりでもこれだけの事はできるの だと示すのが目的なので、そうした形で参考にして戴ければ幸いである。

 過去のダイヤ案で、新花巻について致命的なミスを見逃していたことについてはどうか御容赦を。



 貨物列車問題についてはこちらに記載(以前のまま)。


 念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして 独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。
 なお、引用は幾らでも御自由にどうぞ。

○履歴
 立案:2006/12/上旬
 着手・車両条件・線路条件:12/12
 道内所要時分再計算:12/13
 速達系所要時分再計算:12/26
 速達・準速達・はやこま等スジ:12/28
 緩行系所要時分再計算・ほくとスジ:2007/1/1
 E2系盛岡以北所要時分計算:1/15
 WinDIA打ち込み:1/19
 全体調整・公開:1/26

 修正
  ダイヤ再作成(大宮以南を3分ヘッドにしてスジ全体引き直し):2007/5/15
  320km/h対応車製造等広報の反映:8/10
 以上修正分公開:8/28
 基準時分に合計項目を追加:12/1
 東京配線問題部分を公開:2008/3/1
 上級グリーン関連部分を追加:2008/3/31


参考資料:先の当初北海道新幹線想定ダイヤ(Vol1及び2)の資料に加え、
     ○地形条件・線路条件等
      ・日本鉄道名所1函館線・根室線・宗谷線(小学館、1987年)
      ・日本鉄道名所2東北線・奥羽線・羽越線(小学館、1986年)
      ・20万分の1地勢図函館、室蘭、岩内、札幌(以上4点 国土地理院、2002/2003/1997/2005年)
      ・2万5千分の1地形図盛岡、鷹高、渋民、沼宮内、当別、茂辺地、函館、陣屋、木地挽山、
         八雲、黒岩、国縫、羊蹄山、倶知安、ニセコアンヌプリ、小沢、於古発山、小樽西部、
         銭函、札幌北部、札幌、札幌東部(以上22点同、2006年)
         剣吉、苫米地、田代平、折紙山、雲谷、油川、蟹田、渡島知内、木古内、七飯、
         大沼公園、設計山、姫川、狗神岳、濁川、野田追岳、山越、春日、上八雲、渡島双葉、
         長万部(以上21点同、2005年)、蓬 田(同、2004年)、張碓(同、2003年)
         陸奥中山、八戸西部、宇別、仁昌寺、一戸、陸奥福岡、三戸、ニセコ、小樽東部、
         (以上9点同、2002年)、礼文華峠(同、2001年)、大川 平(同、2000年)
         百石、犬落瀬、十和田(以上3点同、1999年)、青森東部、赤井 川、(以上2点同、1998年)
         七戸、銀南木、静狩、仁木、阿女鱒岳、(以上5点同、1997年)、青森 西部(同、1996年)
         昆布岳(同、1993年)、後志 立川、瑞穂(以上2点同、1988年)、大倉岳(同、1987年)

       etc.(自治体・環境省・JVのIR等)
     ○車輌資料
      ・世界の高速鉄道(佐藤芳彦、1998年)
      ・新幹線テクノロジー(同、2004年)
      ・インバータ電車制御概論(飯田秀樹・加我敦、2003年)
      ・運転理論改訂版(運転理論研究会編著、2002年)
      ・Fastech360の 挑戦―新幹線のさらなる進化を目指して―
        『JR EAST Technical Review』No.14(遠藤隆、2005年)

      ・小型軽量・高出力 主回路機器の開発
        同(安井義隆・古田良介、2005年)

      ・車両情報制御 伝送システムの開発
        同(中村信彦・安井義隆・古田良介、2005年)

      ・非常停止距離の 短縮への取り組み
        同(新井浩・柳瀬直仁・浅野浩二・橋本克史、2005年)

      ・次世代新幹線の 研究開発の方向とFASTECH360
        『JR EAST Technical Review』No.15(小笠原稔、2006年)

      ・都市間輸送の 高速化に貢献する次世代高速新幹線駆動システム
        『東芝レビュー』Vol.61 No.9(長谷部寿郎・山本肇、2006年)

      ・RRR2006年12月号、
      ・鉄道ファン2000年3月号、2005年9月号及び2006年6月号、
      ・鉄道ジャーナル2005年9月号、
      ・グループ経営ビジョン2020−挑む−(JR東日本、2008年)
       etc.
       (以上敬称略)


※再執筆中BGM:How Wicked Ruler(桜庭統、2006年)
         Unrestrained Struggle(同、2006年)
(C)2004-2008 far-away(◆farawagyp.)

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