北海道新幹線想定ダイヤ Vol.4
 騒音面で難儀してはいるようですが、とりあえずとコスト次第という形で技術的に目処が 立っているらしき範囲である、営業365km/h(設計405km/h)対応車両を投入するだけで北海道新幹線はこういう代物に なる、ということを示すために以前書いてみたものの再改訂版です。
 Vol.3で車輌条件の再検討と線路条件の精度向上を図りましたが、今回はE5系の投入計画を踏まえて 車輌条件について更にもう一歩踏み込んでみました。

 (2009/2/7)
 ※現在は仕様部分のみを先行して仮公開している段階です。
  2.基準運転時分〜4.運行ダイヤについてはVol.3と同じ部分のみしかありません。

 (2011/1/27)
  全内容を公開しました。

1.車輌
   (1)360km/h対応車輌  (2)320km/h対応車輌
2.基準運転時分
   (1)360km/h対応車輌  (2)320km/h対応車輌
3.曲線通過速度
4.運行ダイヤ



1.車輌
 今回の分のみを読む方も居られると思われるので、前回の再掲となる部分も省略せずに掲げておく。

(1)360km/h対応車輌
 JR東日本が投入したE954系の試験結果、E5系の営業走行データ、及び防音対策工事によって360km/h対応として 製造される営業車輌を想定することになる。ここではひとまず、フル規格車輌をE7系と仮称しておく。諸状況に 鑑みて、新在直通車輌は設定しない。
 (※まだ正式に広報されてはいないが、とりあえず320km/h対応新在直通車がE6系として製造されると 見込んでおく。二階建で軸重16tから大きく減らせる予測が立たない以上、Max新形式の線は無視。昨今を見るに、抜本 改良でなければE4-1000とされそうな気が)
 これは以前の案では500系を基本として、高出力化、車体制御の追加、道内レベルの耐寒耐雪構造を 軸としたが、ここでは更にE954系及びE955系の実車概要を参考として取り込んでいく。
 MT配置はE955系同様、両端台車のみ付随台車として他を全て動力台車とする(実質9M1T)。最後部になった際は引張力を 有効に使える筈ではあるが、E954系及びE955系の実車が当初の想定よりも更に高出力の370kWの誘導電動機や355kWの永久 磁石同期電動機といった電動機を搭載していたことから、付随台車を加えても同等の出力は確保し得ると判断した。但し 実際には構成を全電動台車として、最前部台車のみ使用しないという形で最後部台車を有効利用するのも一手である。

 ○E7系10連(札幌方併結装置有)
 将来の転用や運用の柔軟性等に配慮し、ミニ6連以上の併結が可能な最長編成である10両編成とした。
←東京                            札幌→
12 34 56 78 910
Mc
E721
M1
E725
M2
E726
M’2
E7264
M1k
E7254
M1
E725
M’2
E726
M2
E7262
M1s
E7252
Msc
E722

2M
CI
6C4M
TrCI
4C4M
Tr
4M
CI
8C4M
CI
8C4M
Tr
4M
TrCI
4C4M
CI
6C4M

2M
G指 SG指
34名90名 80名89名 70名90名 79名90名 51名 18名
  編成定員691名(普通席622+グリーン席51+上級グリーン席18)
   ※札幌への速達・準速達列車をフル規格車両単独運転とするならば、併結位置を わざわざ逆転する必要はない。

 車内の構成は所々変更しているが、サービスコーナーは現状の車販準備室同様5号車に設置する 形で維持した。10両編成ではあるが、空路からの移転が相当数見込まれること、空席情報から 推察できる空路の席の埋まり方から、グリーン車はE5系同様9・10号車の2両を確保する。
 上級グリーン席がシェルシート18席では10号車の多くは客室スペースと考えられるが、乗務員室を こちらに置くことで9号車を実質1列増とし、空気抵抗増加装置による定員減を相殺した。

 上級グリーン席(SGで表記)は、2+1列でシェルシート採用と対収益の空間使用効率では通常のグリーン席に劣る 可能性が低くない。しかしPR次第では、寧ろ北斗星等の様にプラスのイメージが上級グリーン利用以外の乗客までをも 誘引することも考えられ、航空対抗の上で大きな効果を生むことが期待される。
 上級シートの例としてよく挙げられるフルフラットシート自体は真似するべきものではないと思うけれども、シェルの 存在はシート展開時のリラックスへの効果が実体験上絶大だったので(※)、140〜150度リクライニング程度でも 乗客の感覚は相当のものとなるだろう。
 (※:国際FではなくNH2179での利用ながら、正直開放Bネのカーテン閉と大差ない感覚だった。国内線運用であり 消灯されない状況での感覚なので、新幹線に採用される場合の感覚にはかえって近いのではないだろうか)


 運転曲線算定に用いる積車質量は200%乗車時のものを用い、(688-1323×0.055)×10/16+721×0.11≒464tから480tと する(10両編成)。E954系及びE955系の実車は平均軸重11.5tとのことではあるが、ある程度の余裕を見込んで平均12tと 設定しておく。性能をマイナス側に傾けた想定であれば、実現可能性はより高まるということも一因である。
 勾配による影響を最小限に抑える為に、力行性能は同じく上り15‰均衡355km/hを基準に算定した。結果、誘導電動機で 効率0.92と置けば連続定格380kW、常用過負荷率20%で全速度域に於いて先の想定以上となることを確認できた。
 これより、速度種別U84、明かり平坦線均衡446km/h、明かり15‰登攀均衡359km/h、明かり20‰登攀 均衡331km/h、隧道12‰登攀339km/h。
 (但し、以前の例同様、軸出力から動輪までの間の機械損及び回転損は見込んでいない。この分、質量を重めに取った分との 相殺をするか場合によっては出力増または前述の最後部台車有効利用辺りが必要となるかも知れないが、これは概ね 調整程度の範囲だろう。
 また、トンネル内の走行抵抗は500系の値でなく、あくまで0系等の数値を参考にした推定値に過ぎない)


 運転最高速度は365km/h。780mm時に365km/hまで定出力領域を確保するとなると、例えば780mm時に332km/hまで、820mm時 に349km/hまで引張力を1.1倍とする増加速設定を付加することも考えられる。定出力領域の上限を820mm時に405km/hと 置けば780mm時に同じく385km/hまで、増加速1.1倍であれば780mm時に350km/h、820mm時に368km/hまでとなる。
 ここではこの増加速設定を用いずに運転曲線を引くものの、連続20‰以上の登攀を考えればこれらも選択肢として 検討し得るものだろう。
 360km/h定速走行時の負荷率は対定格で明かり65%、トンネル内92%。常用過負荷率の数値を上げた影響で こちらもやや上がってしまったが、欲を言えばもう少しだけ余裕が欲しいものだ。

 機器配置は柔軟に。1〜3/4〜5/6〜7/8〜10号車の4ユニットに分割し、両先頭車はE955系を参考に片側のみを 動力台車としておいた。主変圧器各ユニット1基、個別制御として機器配置を考えると下図の通りとなった。個別 制御としたのはあくまで対応関係が判り易くなるからであって、個別制御でなく1C2Mまたは1C4M等でも支障が無ければ 取り得ることは言うまでもない。因みに今回常用パンタは4号車の1基のみとしたが、故障時に備えて7号車にも 予備パンタを一応備えておく。
 起動加速度は、やはり2.5km/h/sである。
 当然全車フルアクティブサスペンション、車体傾斜機構(2.5度)、車体間ダンパ装備及び断熱防音強化を施し、また 着雪対策としてドアのみならず連結器カバー周辺にもヒータを装備とする。実車が車体の一部にまで着雪防止の ヒータを装備しているので、現行ミニ編成で連結器カバーの開閉不良が起きていることも鑑みればこの程度は当然と 見て良いだろう。
 空気抵抗増加装置は2〜9号車各客室間デッキ部分に1対ずつ、及び両前頭部の計9対とした。
  ここまですると定員減がかなり効いてくるが……このシートピッチを維持して大丈夫なのか?


(2)320km/h対応車輌
 続いて、320km/h対応のフル規格及び新在直通車輌(E5系及び仮称E6系)については、まだ実車の諸元が判らない ので、ひとまず予想で対応するものとする。予想にあたっては、E2系、E3系、E954系及びE955系の実車概要を参考として 取り込んでいく。
 ※これは2009年2月(E5系実車落成よりも3ヶ月以上前)に公開したものであり、随所に相違があるので ご注意あれ。もっとも、力行性能は奇しくもほぼ一致しているようであるが。

 ○E5系10連(新青森・札幌方併結装置有)
 ○E6系7連(東京方併結装置有)
 基本的にE2・E3系の客用設備仕様とE954・E955の機器関連仕様を参考に、空気抵抗増加装置を省略する他、多少の コストダウンという仕様で想定してみる。
 フル規格編成については性能調整、及び車内設備の小調整程度に留めておき、特段の変更を行わない。編成の延長も 行わず、ミニ6連以上の併結が可能な最長編成である10両編成とした。
 新在直通編成については、併結時に410mに十分収まる最大長の7連とした。
←東京                     新青森・函館・札幌→
←東京・秋田              大曲→
12 34 56 78 910   1112 1314 1516 17
T1c
E523
M2
E5261
M1
E525
M’2
E5262
M1k
E5254
M2
E5263
M1
E5251
M’2
E5264
M1s
E515
T2sc
E514
Msc
E611
M’1
E625
M2
E626
M2
E627
M2
E6262
M’1
E6252
Mc
E624
G指 SG指 G指
39名95名 85名94名 75名95名 84名95名 51名 18名 23名 51名56名 64名56名 56名 31名
    フル規格編成定員731名(普通席662+グリーン席51+上級グリーン席18)
    新在直通編成定員337名(普通席314+グリーン席23)
    併結時定員1068名(普通席976+グリーン席74+上級グリーン席18)

 フル規格車輌については、上級グリーン車の設置、交通新聞報道により1・2・4・6・8号車の座席を1列ずつ減少させたこと 以外は基本的に現行E2系と同じ構成である。
 新在直通車輌については、E5系10連の編成長を254mとすると、先頭車23m中間車21mで7連なら併結時編成長405mになること から7連とした。併結すると700系16連を上回る新幹線史上最長の編成となるが、410mに十分収まる範囲であれば特段問題 ないだろう。

 新在直通車輌の機器配置は、柔軟に。両端から3両ずつを1ユニットとして構成することはE955系同等としながら、主変圧器の 容量に配慮して14号車を独立させ、11〜13/14/15〜17号車の3ユニットに分割し、両先頭車はやはり片側のみを動力台車として 扱った。パンタは在来線を考慮して12号車及び16号車の2基とした。

 新在直通車輌のグリーン車は11号車、サービスコーナーは12号車に設置。E5系の9・10号車及び併結時の組成を 考慮すると、グリーン車の位置は現状のままが良いと判断した。車端部の各設備を12号車に移すことで、11号車の定員は 確保した。一方、12〜17号車もフル規格車輌同様にシートピッチを拡大すると仮定して座席数を減少させた。車椅子用 座席は11・12・17号車と設定。
 フル規格・新在直通のいずれも自由席は設定せず、現状通り特定特急券での対応に委ねる。
 ※上記仕様は2009/2/7本稿公開時のままです。2010/2月以降のE6系仕様公開は反映しておりません。悪しからず。

 性能面は、320km/hなら十分であろうことからE954の8N相当とする。余裕の少ないE5系に合わせると、起動加速度1.7km/h/s、速度 種別U21、明かり15‰登攀均衡289km/h、明かり平坦線均衡速度388km/h、隧道30‰登攀均衡200km/h、360km/h時明かり均衡勾配4‰。
 (※:実車の360km/h時明かり均衡勾配は鉄道ファン09年10月号によれば3‰、鉄道車両と技術09年7月号によれば5‰――何れも8月刊行)

 高速性能は大幅に向上しているが、定出力域で比較するとE2系6M2Tの7%増に過ぎない(対8M2T推定値では わずか1%増)。つまり、この高速性能はE2系の歯数比を変えて走行抵抗低減策を講じた場合の姿といえる。
 車体傾斜は広報通り1.5度。



2.基準運転時分
(1)360km/h対応車輌
 以上より、E7系は定加速度領域に於いて走行抵抗を一切差し引かない時点の加速度2.50km/h(0〜163km/h)、定出力領域に 於いて同じく加速度(407.8/V)km/h/s(163km/h〜)、平坦線常用最大減速度2.7km/h/s(0〜70km/h)+μパターン 制御(70km/h〜)、駅停車時構内減速度2.08km/h/s(0〜65km/h)にて運転曲線を計算。均衡速度は前述の通り。
 運転曲線は1m単位、速度の上限は制限速度-5km/hまたはATC頭打ち速度-5km/hの低い方とし、加減速時の運転曲線は 台形公式(d=0.01km/h)により加速度式を積分して求めた。札幌開業時想定なので全区間DS-ATCとしてある。
 また、粘着条件の悪化する積雪時等には空転の恐れが若干存在するが、新幹線の計画粘着式と比較しての 差が最も大きい163km/h付近でも2.5km/h/sに対し0.75km/h/s程度の差に過ぎず、また高速になるにつれ差が減少し 特に重要となる330km/h以上では16%以下となるので、ダイヤ作成の段階ではセラジェット噴射を含む増粘着で 対応できる範囲とみなしてしまっても良いだろう。そもそも勾配区間の殆どはトンネル内となるので、この点からも 多少の差であれば概ね許容範囲であるとみなすことができる。
 更にE954及びE955の研究報告類に拠れば、先頭付近の駆動制動力を抑え後方を増す制御を行うことで、6M2Tで も計画粘着式の1.25倍程度であれば十分に期待できることが伺える。これにより、更に各台車のトルク配分(N700関連 の資料も参考とした推定)を、両端台車のみを付随台車とする9M1Tに適用してみたところ、対動軸荷重比で計画粘着 式の127.78%の粘着性能という数値が導けた。
 ・6M2T
12345678動軸数計/動軸数
040801201201201200600 6×4100/4
0501001501501501500800 6×4125/4
 ・9M1T(軸トルクを1号車=2号車、9号車=10号車とする)
12345678910動軸数計/動軸数
20408012012012012012012060920 9×4102.22/4
2550100150150150150150150751150 9×4127.78/4
 理想的に過ぎるかも知れないが、以上により計画粘着式を若干超えた加速での算定を許容することにして 以下試算を行う。

 なお走行抵抗を考慮したのは基本的に力行時と惰行時のみで、制動時には走行抵抗の効果を無視して、能動的な 制動力のみでの計算としてある。従って、実質的には走行抵抗の内車輪の粘着力に依らない分(空気抵抗等)だけ減速力に 余裕がある。
 勾配抵抗は式に含めたが曲線抵抗は考慮しておらず、特に主要駅前後の急曲線ではある程度の誤差も見込まれる。

 まずはE7系使用速達列車(6駅停車)の場合の算定から。なお駅名黒字が停車駅、赤字が通過駅である。
東京から
の実キロ
駅間
キロ
駅  名 駅間
最高
速度
運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
0.0
3.6
31.3
80.3
109.0
152.4
178.4
213.9
255.1
286.2
325.4
363.8
385.7
406.3
431.3
448.6
463.1
496.5
527.6
562.2
593.1
629.2
674.9
704.5
713.4
776.4
788.2
823.8
877.9
911.0
965.1
1003.1
1035.1
3.6
27.7
49.0
28.7
43.4
26.0
35.5
41.2
31.1
39.2
38.4
21.9
20.6
25.0
17.3
14.5
33.4
31.1
34.6
30.9
36.1
45.7
29.6
8.9
63.0
11.8
35.6
54.1
33.1
54.1
38.0
32.0
東    京
上    野
大    宮
小    山
宇  都  宮
那 須 塩 原
新  白  河
郡    山
福    島
白 石 蔵 王
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七 戸 十和田
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
新  八  雲
長  万  部
倶  知  安
新  小  樽
札    幌
95
160
320
320
365


























365
3'22
13'12
10'48
5'28
7'25
4'23
6'01
7'06
5'15
9'35
8'13
3'42
3'27
4'16
3'03
2'30
7'39
7'16
5'47
5'09
6'01
9'54
6'39
1'29
10'46
1'58
7'53
12'43
5'31
9'05
6'20
8'19
3'17
13'18
11'05
5'28
7'21
4'22
6'04
7'11
5'16
9'18
8'22
3'42
3'26
4'18
3'02
2'30
7'20
7'29
5'52
5'11
6'01
9'31
6'59
1'30
10'45
1'58
7'26
11'41
5'31
9'01
6'23
8'07
1'00
1'30
1'00






0'30
1'00





0'30
1'00



0'30
1'00



0'30
1'00



0'30
1'00
1'30
0'30






1'00
0'30





1'00
0'30



1'00
0'30



1'00
0'30



1'00
4'30
14'45
11'45
5'30
7'30
4'30
6'00
7'00
5'15
10'15
9'15
3'45
3'30
4'15
3'00
2'30
8'15
8'15
5'45
5'15
6'00
10'30
7'45
1'30
10'45
2'00
8'15
13'45
5'30
9'00
6'30
8'45
4'30
15'00
11'45
5'30
7'30
4'15
6'00
7'15
5'15
10'15
8'45
3'45
3'30
4'15
3'00
2'30
8'30
8'00
5'45
5'15
6'00
10'30
7'30
1'30
10'45
2'00
8'30
12'15
5'30
9'00
6'15
9'15
4'30
14'45



57'45







34'30





35'45




30'15




43'30

4'30
15'00



57'45







34'15





35'30




30'15




42'15

48.0
112.7



305.6







299.7





303.7




295.3




291.4

48.0
110.8



305.6







299.7





301.5




295.3




300.1

3:30'15 3:28'45 10'00 3:41'00 3:39'30   281.0 282.9
 東京〜上野間の95km/h、上野〜大宮間の160km/h、大宮〜宇都宮間の320km/h、駅進入速度70km/h(計算65)、ホーム 有効長410m、及び構内配線の長い大宮と東京に限り徐行区間を長く取ったことは以前と同様である。
 宇都宮〜札幌については365km/hとした。
 その他、青函トンネルの12‰連続登攀は均衡339km/hより、十分に均衡速度に近付いた後は335km/h定速として 計算した。

 青函トンネルでの在来線貨物とのすれ違いについては、防風壁及びTOT導入により新幹線列車を最高365km/hのまま 走行させるものと、貨物についてはTOTではなく従来のコキ牽引として新幹線列車を新在併用区間に於いて 最高260km/hに抑制するものとの2つを挙げておく。前者は上記の通り、後者は新青森〜新函館間無停車の場合に ついて次に記す。
駅  名 駅間
最高
速度
運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
365
260

260
365
6'52
2'06
14'50
2'47
8'12
7'25
2'06
14'50
2'45
7'40
1'00



0'30
0'30



1'00
8'00
2'00
15'00
2'45
8'45
8'00
2'15
14'45
2'45
8'45


36'30



36'30



244.8



244.8

34'47 34'46 1'30  
 以上の通り、260km/hへの減速により上下共に6分15秒の増加となる。

 新青森通過の場合を考えると、盛岡〜新函館間は青函間の最高速度を365km/hまたは260km/hとすれば それぞれ次の通り。
 ・青函間365km/h
駅  名 運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七 戸 十和田
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
7'16
5'47
5'09
6'01
8'02
5'21
1'29
10'46
1'58
7'53
7'29
5'52
5'11
6'01
8'12
5'11
1'30
10'45
1'58
7'26
1'00








0'30
0'30








1'00
8'15
5'45
5'15
6'00
8'00
5'30
1'30
10'45
2'00
8'15
8'00
5'45
5'15
6'00
8'15
5'15
1'30
10'45
2'00
8'30




1:01'15








1:01'15








320.6








320.6




59'42 59'35 1'30  
 ・青函間260km/h
駅  名 運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七 戸 十和田
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
7'16
5'47
5'09
6'01
8'02
5'34
2'06
14'50
2'47
8'12
7'29
5'52
5'11
6'01
8'12
5'33
2'06
14'50
2'45
7'40
1'00








0'30
0'30








1'00
8'15
5'45
5'15
6'00
8'00
5'30
2'15
14'45
2'45
8'45
8'00
5'45
5'15
6'00
8'15
5'30
2'15
14'45
2'45
8'45




1:07'15








1:07'15








292.0








292.0




1:05'44 1:05'39 1'30  
 盛岡〜新函館間において、停車時間を除く走行時間で新青森停車の場合に比べて4分45秒〜5分15秒が短縮される。
 新青森の通過速度は、上り方にあるR2500の曲線による制限の影響で約335km/hと算定される。この速度域に なると、縦深のある島式ホームであっても丈のあるホームドアを必要とする可能性がある。

 更に上野通過とすると、東京〜大宮間は次の通り。
駅  名 運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
東    京
上    野
大    宮
2'54
12'53
2'55
12'49
1'00
0'30
0'30
1'00
4'00
13'30
3'30
14'00

17'30

17'30

107.3

107.3
15'47 15'44 1'30  
 上野停車に比べ、走行時間が下り1分45秒、上り2分0秒短縮される。上野通過速度は90km/hで計算。


(2)320km/h対応車輌
 E5系使用、速達列車(6駅停車)の設定で320km/h止まりのまま札幌開業に漕ぎ着けるとした場合の算定である。
東京から
の実キロ
駅間
キロ
駅  名 駅間
最高
速度
運転曲線
駅間所要
余裕時分 基準時分 停車駅間
所要時分
停車駅間
平均速度
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
0.0
3.6
31.3
80.3
109.0
152.4
178.4
213.9
255.1
286.2
325.4
363.8
385.7
406.3
431.3
448.6
463.1
496.5
527.6
562.2
593.1
629.2
674.9
704.5
713.4
776.4
788.2
823.8
877.9
911.0
965.1
1003.1
1035.1
3.6
27.7
49.0
28.7
43.4
26.0
35.5
41.2
31.1
39.2
38.4
21.9
20.6
25.0
17.3
14.5
33.4
31.1
34.6
30.9
36.1
45.7
29.6
8.9
63.0
11.8
35.6
54.1
33.1
54.1
38.0
32.0
東    京
上    野
大    宮
小    山
宇  都  宮
那 須 塩 原
新  白  河
郡    山
福    島
白 石 蔵 王
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七 戸 十和田
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
新  八  雲
長  万  部
倶  知  安
新  小  樽
札    幌
95
160
275
275
320


















260

260
320




320
3'29
13'48
12'26
6'23
8'25
4'58
6'46
7'51
5'56
10'06
9'19
4'11
3'56
4'46
3'18
2'46
8'02
8'24
6'38
5'53
6'53
10'42
7'55
2'06
14'50
2'47
8'38
13'31
6'19
10'26
7'15
8'41
3'26
13'49
12'22
6'23
8'19
4'57
6'37
8'01
5'56
10'23
9'00
4'11
3'56
4'46
3'18
2'46
8'15
7'52
6'49
6'01
6'53
11'14
7'36
2'06
14'50
2'47
8'47
13'17
6'19
10'18
7'21
9'09
1'00
1'30
1'00






0'30
1'00





0'30
1'00



0'30
1'00



0'30
1'00



0'30
1'00
1'30
0'30






1'00
0'30





1'00
0'30



1'00
0'30



1'00
0'30



1'00
4'30
15'30
13'30
6'30
8'15
5'00
6'45
7'45
6'00
10'45
10'15
4'15
4'00
4'45
3'15
2'45
8'45
9'30
6'30
6'00
6'45
11'15
9'00
2'00
15'00
2'45
9'15
14'30
6'30
10'15
7'15
9'15
4'30
15'30
12'45
6'30
8'15
5'00
6'30
8'00
6'00
11'30
9'30
4'15
4'00
4'45
3'15
2'45
9'15
8'30
6'45
6'00
7'00
12'15
8'15
2'15
15'00
2'45
9'45
13'45
6'15
10'15
7'30
10'15
4'30
15'30



1:04'30







38'00





40'00




38'00




47'45

4'30
15'30



1:04'30







37'45





40'30




38'00




48'00

48.0
109.0



273.6







270.2





267.6




235.1




265.5

43.2
109.0



273.6







271.9





264.3




235.1




264.1

3:57'24 3:57'44 10'00 4:08'15 4:08'45   250.2 249.7
 東京〜上野間95km/h、上野〜大宮間160km/h、大宮〜宇都宮間275km/h、宇都宮以北原則320km/h、新在 共用区間260km/h、駅進入速度70km/h(計算65)、ホーム有効長410m、及び構内配線の長い大宮と東京については 徐行区間を長く取った。

 最高320m/hの時点で既に、特に無理をせずとも東京〜札幌間4時間10分台は出せるようである。



3.曲線通過速度
 盛岡運転所以南のカントは155mm、以北はカント200mmで計算してある。盛岡〜八戸間がカント200mmで 造られている以上、八戸以北もそうである事は想像に難くない。
 乗り心地限界速度はv=3.6{rg(sin2θ/2+0.08)}1/2で計算。r=曲線半径、g=重力加速度、θ=(カントに よる横方向軌道傾き+車体傾斜の総和)である。基準時間算定では全区間に於いて、この限界速度を5km/h以上下回り 且つ5km/h単位で最大となる数字を上限速度として使用した。
 この結果、代表例として横方向0.08Gとなる速度は以下の通りとなる。
軌道条件 車体傾斜角 備考
曲線半径 カント 0度 1度 1.5度 2度 2.5度
420 155 75 81 84 86 89 これのみ0Gとなる場合の数字
上野〜日暮里間
500 110 99 105 107 110 112 仙台前後
200 117 122 124 126 128
600 155 119 124 127 129 132 大宮以南随所、札幌付近
200 128 133 135 138 140
800 200 148 154 157 159 162 大宮以南随所、札幌付近
1000 200 166 172 175 178 181 大宮以南随所、盛岡下り方&上り方
1400 200 196 204 207 211 214 仙台上り方
1500 155 188 197 201 205 209 大宮下り方
1600 200 210 218 222 225 229  
2500 75 204 217 224 230 236 新青森上り方
200 262 272 277 282 286 盛岡上り方
3200 200 297 308 314 319 324 新函館上り方
3600 180 305 317 323 329 335 新青森上り方
4000 155 308 322 328 335 341 盛岡以南標準
200 332 345 351 357 362 盛岡以北標準
6000 155 377 394 402 410 418 考慮する上限としての数字
200 407 422 430 437 444
 また、C200での365km/h走行に於いては車体傾斜角2.5度の場合R4050、2度の場合R4180で横方向定常加速度が0.08Gと なる。カント200mmで360km/h運転(頭打ち365)をする限り、これ以上の曲線半径の区間は直線と同じとして計算して 良い。反面この通りであるのでR4000での365km/h走行では横方向定常加速度が僅かに0.08Gを上回るが、振動加速度を 相当に抑えることで定常加速度を0.10G程度まで許容し得る可能性があるとの総研報告も存在するので、当試算では この程度は許容範囲として取り扱う。縦方向についても、全着席前提であるので簡略の為に同様とする。
 なお、C200のまま傾斜角2.5度の場合R5860まで、2度の場合R6140まで曲線半径を緩和するとこちらは365km/h走行に 於いて0Gとなる。つまりそれ以上の曲線半径ならば、理論上乗り心地に遠心力は影響しない。最小R6500という のは、この速度域での運転に妥当な線形ということになる。



4.運行ダイヤ

 最高速度は下記の通りとする。
 ◆列車毎
  ・毎時2本の東京〜札幌速達(列車番号00nnB)、及びその早朝深夜区間運転:365km/h
  ・つばさ併結列車の仙台以南、及び仙台以南運転の各停タイプ:275km/h
  ・その他:320km/h

 ◆区間毎
  ・東京〜上野:95km/h
  ・上野〜大宮:160km/h
  ・大宮〜宇都宮:E7系320km/h、E5・E6系275km/h、その他245km/h
  ・宇都宮〜札幌(新在共用区間以外):E7系365km/h、E5・E6系320km/h、その他275km/h
  ・新在共用区間:260km/h


 以下の時刻例では、最高320〜365km/h運転の列車の一部のみ記載する。それ以外はダイヤグラムを以って代える。
 なお先行列車に対する365km/hでの最短続行間隔は4分0秒(限界2分17秒)、320km/hは3分30秒(限 界1分55秒)、315km/hは3分15秒(限界1分53秒)、275km/hは2分45秒(限界1分33秒)を確保した。

 ○下り
列車番号 7B 55B 3105B 3105M 3155B 5155B/M 519B








7




55



105



105




155



155



519
東    京
上    野
大    宮
小    山
宇  都  宮
那 須 塩 原
新  白  河
郡    山
福    島
白 石 蔵 王
仙    台
古    川
くりこま高原
一  ノ  関
水 沢 江 刺
北    上
新  花  巻
盛    岡
いわて沼宮内
二    戸
八    戸
七 戸 十和田
新  青  森
(新在分岐点)
奥  津  軽
知    内
木  古  内
新  函  館
新  八  雲
長  万  部
倶  知  安
新  小  樽
札    幌


91330







101245






104845









115730




124230
85600
90000
91500
92645
93215
93945
94415
95015
95715
100230
101415
102330
102715
103045
103500
103800
104030
105015
105830
110415
110930
111530
112330
112900
113115
114600
114845
115900
121245
121815
122715
123345
===

82430
84015







93930






101530




105245




113045



121000
122130
82000
82530
84145
85330
85900
90630
91100
91700
92400
92915
94100
95015
95400
95730
100145
100445
100715
101700
102515
103100
103615
104215
105415
110215
110415
111915
112200
113215
114600
115130
120045
121100
===

83630
85300

91600





100445






104430




113330

114730

120900
122100

124515
131015
132245
133500
83200
83730
85430
90815
91700
92830
93330
94015
94800
95400
100615
101630
102045
102445
102930
103245
103530
105315
110300
110930
111530
112215
113500
114400
114830
120445
121000
122230
123700
125545
131115
132345
===

















104700
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

80430
82100

84400



92000

94445
100215
101100
102000
104115
104915
105630
110815
113115
114300
115345
120515
121945
80000
80530
82230
83615
84500
85730
90230
90930
92515
93400
95015
100315
101200
103230
104215
105015
105730
112000
113215
114400
115445
120615
===










94615
95645
100100
100500
100945
101300
101545
102445
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||
||

122000
123100
124615
125845
131115
120300
122100
123200
124715
125945
===
大    曲
秋    田
            1137
1210
    1125
1158
   
所要時間 3:46'30 4:01'30 3:49'00 3:38 4:19'45 3:58 1:08'15
表定速度 274.2km/h 257.2km/h 215.8km/h 171.7 155.9km/h 157.3 185.8km/h
最高速度/形式 365/E7 365/E7 320/E5 320/E6 320/E5 320/E6 320/E5

 ○上り
列車番号 6B 56B 3110B 3110M 3158B 5158M/B 506B








6




56



110



110




158



158



506
秋    田
大    曲
            1005
1039
    931
1005
   
札    幌
新  小  樽
倶  知  安
長  万  部
新  八  雲
新  函  館
木  古  内
知    内
奥  津  軽
(新在分岐点)
新  青  森
七 戸 十和田
八    戸
二    戸
いわて沼宮内
盛    岡
新  花  巻
北    上
水 沢 江 刺
一  ノ  関
くりこま高原
古    川
仙    台
白 石 蔵 王
福    島
郡    山
新  白  河
那 須 塩 原
宇  都  宮
小    山
大    宮
上    野
東    京





92915









103800






111345







121300

123200
84715
85630
90245
91145
91715
93045
93930
94215
95700
95915
100445
101300
101900
102415
103000
103930
104800
105030
105330
105745
110115
110500
111515
112530
113045
113800
114400
114815
115545
120115
121430
122830
===

81900



85545




93345




101100






104645







114600
120230
120800
80830
82000
82915
83815
84345
85715
90600
90845
92330
92545
93515
94545
95145
95700
100300
101230
102100
102330
102630
103045
103415
103800
104815
105830
110345
111100
111700
112115
112845
113415
114730
120330
===

90300
91645
93200


100400
101700

103815

105100




113315






122130





131115

133330
135030
135600
85130
90400
91745
94130
95015

100530
101800
102215
103915
104245
105230
110445
111145
111745
112430
114300
115230
115515
115830
120315
120715
121130
122300
123430
124030
124830
125500
130000
131215
132045
133500
135130
===
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114100


















92030
93215
94315
95515
100630
102915
103630
104345
105315
111300
112145
113430

115900



123915

130130
131830
132400
90615
92130
93315
94415
95615
101800
103015
103730
104445
110500
111400
112245
113930
115100
120530
121700
122330
122830
124015
124845
130300
131930
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105715
110630
110915
111230
111715
112115
112630
113800











92830
94215
95715
100645
102130
91700
92930
94315
95815
100745
===
所要時間 3:44'45 3:59'30 3:50'30 3:51 4:17'45 3:53 1:04'30
表定速度 276.3km/h 259.3km/h 214.4km/h 162.0 157.1km/h 160.6 196.6km/h
最高速度/形式 365/E7 365/E7 320/E5 320/E6 320/E5 320/E6 320/E5
 以上を毎時一本ずつ運行、合間に各種列車を挟み込む形とした。なお、青函間の新在併用区間は 最高260km/h(計算255)に抑えてある。
 速達列車については前述の通り会社境界を無視して新青森通過としたが、盛岡〜新青森間178.4km、新青森〜新函館 間148.9kmと大差はないので、盛岡または新函館で乗務を交代することとして東日本と北海道の分担列車を 割り振る手もあるし、または盛岡〜新函館間を運転士2名以上を含む計4名乗務として、新青森通過後に運転士が 交代するという手もある(東海道新幹線に於いて豊橋付近で行われていた方法の変形)ので、協定如何の範囲内と 考えても良いだろう。

 列車愛称の定義は以下の通りとした。
ほっかい 東北新幹線内〜札幌間運転の列車
はやて (1)大宮〜仙台間速達(無停車または宇都宮のみ停車)であり、札幌まで行かない列車
(2)仙台以北のみである運転区間に盛岡以北の東北新幹線内を含み、札幌まで行かない列車
やまびこ 福島〜盛岡間の一部または全部を運転区間に含み、他の何れにも該当しない列車
なすの 福島以南のみを運転区間とする列車
ほくと 北海道新幹線内のみを運転区間とする列車
こまち 盛岡〜秋田間の一部または全部を運転区間に含む列車
つばさ 福島〜新庄間の一部または全部を運転区間に含む列車


 はやこまについては海峡線区間の線路容量と海峡間での特別料金不要特例を考慮し、盛岡以北では 停車駅をわざと必要以上に増やし遅くして、青函間での間隔をできるだけ狭めてある。
 また、盛岡〜秋田間の所要時分については車体傾斜作動時の数字とした。


 更に、東京の交差支障についても併せて触れておく。
 現状配線では以下の通り、23番線に入線する場合を除いて同時発着が不可能である。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × × ×
22 × × ×
23

 しかし、21〜22番線間に片渡り線を1本加えると途端に柔軟性が増し、通常の2面4線配線同様の運用が可能となる。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × × ×
22 ×
23

 渡り線を更に1本加えると柔軟性が一層増して半分のパターンで同時発着が可能となるが、これは用地の都合上 困難という外ないだろう。ホームを数十m南側に動かすとなると、一体どれだけの費用が掛かることか。
  出 線


番線 20 21 22 23
20 × × ×
21 × ×
22 ×
23
 下記のダイヤ案では、到着直後に他番線発車という形を取っており同時発着をできるだけ排しては いるが、ダイヤの柔軟性や異常時の回復力を考えれば、この様な配線改良を検討する余地もあることだろう。


 こうして勝手に想定したダイヤのダイヤグラムは次の通り。
ほっかい単独:青実線(太)━━ ほっかい+こまち:紫実線(太)━━ 速達系はやて+こまち:赤実線(太)━━
はやて臨時区間:赤破線(太)━ ━ こまち単独:紫実線(細)── やまつば:緑実線(細)──
ほくと:白実線(太)━━ やまびこ単独:白実線(細)── 緩行やまびこ・なすの:水実線(細)──
大宮発着臨時:黄実線(細)─― 回送:薄灰一点鎖線(細)─ - ―  
 (幾分全体像を掴みやすい高密度版はこちら)

 これは緩急分併及び延長運転を除いたほぼ最大本数の想定であって、時間帯によっては需要に応じて間引くべき 列車や臨時列車も含めてある。東京駅の容量や大宮以南線路容量の問題もあるので、現実には一部を臨時扱いまたは 曜日限定運転とするなどの手段を講じるべきだろう。
 待避線入出等の際分岐器制限は全て考慮済みである(盛岡も現行標識の80ではなく70で扱った)。
   その他のポイントは以下の通り。

◆全体的に
  • 緩急接続の確保と各列車の速達化を図り、各駅停車に準じる列車は東北・北海道とも1本/時のみ、一方で新青森 やまびこをこまちと併結の上で仙台分併として線路容量の有効利用と所要時分短縮の両立を図った。結果、小山・那須 塩原・新白河以外の全駅で東京直通の速達サービスを1本/時以上確保できた。
  • 緩行型のやまびこについて、下り大宮発及び上り仙台発の先行間隔はややシビアではあるが、車輌性能差のお陰で 余裕時分を設定しながらこの間隔での続行も可能という計算結果が出たので運行可能である。
  • 今回、意図的に寝かしたスジは特段設定していない。
  • 盛岡以南では同時発車に見える箇所が幾つかあるが、通過列車を待避する際に限られており秒単位ではきちんと 間隔を空けてあるので、実際には支障がないようになっている。
  • 朝夕間に一部設定してあるはやてスジを延長した3本目のほっかいはあくまで延長したに過ぎない程度のもの なので、後続の速達ほっかいに抜かれて東京〜札幌間が下り4時間44分30秒、上り4時間58分30秒になって しまうが、速達ほっかいが満席の際にはこちらに誘導できるので相応の需要は得られると考えた。多少 遅くても良ければ指定席を確保できる、という選択肢を客に提示するのも必要なことだろう。無論、盛岡で 後続列車に抜かれるという情報を明示しておくことは求められるだろうが。
  • 朝夕間に新函館通過の速達ほっかいも一部設定して、東京〜札幌間下り3時間39分15秒、上り3時間38分30秒まで 縮めてみた。新函館への需要をはやて延長ほっかいに振り向けた状態で何処まで需要を見込めるかは 解らないが、変則的なのは木古内以北のみなので必要とあらば新函館停車のパターンへと簡単に戻せる。


  • ◆福島
  • 福島では、配線を活かして二重待避を設定した。
  • また速達系とE3系との速度差が大き過ぎるため長時間退避が避けられない都合上、新在直通用には 下り14番線、上り11番線を使用している。従って上り用の新在アプローチ線が必要となる。


  • ◆盛岡
  • 盛岡での支障は、全列車停車としたことで365km/h通過前提の4分までは必要なく、実質的には 僅かなものに抑えられている。
  • こまちの増解結は下り14番線、上り11番線で行う。


  • ◆八甲田トンネル
  • 八甲田トンネルの10‰拝み勾配は結構な負荷になってしまい、手前駅停車の列車では速度を十分に乗せることが できない。E5系でも、トンネル上り10‰の均衡速度は290km/hに留まっている。


  • ◆青函間
  • 奥津軽〜竜飛海底間を270km/hで走行したときの所要時間が5分35秒、竜飛海底〜吉岡海底が5分7秒、吉岡 海底〜知内が4分34秒となることより、青函トンネル内の続行間隔は最小6分0秒に設定した。


  • ◆道内
  • 車両基地が七飯にあり札幌付近に少数しか留置できないことで、そのままでは朝間上り列車と夕間下り列車に 必要な編成数が確保できない。新函館〜札幌間の営業列車だけでは足りず回送を数本設定し、更に長万部及び 新小樽への夜間留置(倶知安は気候上好ましくない)を行う等して、漸く札幌7〜9時台発上り列車と21〜23時台着 下り列車の本数を確保できた。
  • スジを立てても新函館〜札幌間の回送に40分以上を要するため、必然的に札幌6時台発及び23時台着の列車は 留置せざるを得ず、加えて7〜9時台発及び20〜22時台着についても回送による補充を必要とする。この点も、将来的に ボトルネックとなる可能性がある。



  •  とりあえず、カントを現状のままに固定した上で、速達のみ最高365km/h、つばさ併結や 各停タイプは275km/h止まり、その他は320km/hという混合状態にあってもなおこれだけの事はできるのだと 示すことが本稿の目的なので、そうした形で参考にして戴ければ幸いである。




     貨物列車問題についてはこちらに記載(以前のまま)。


     念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして 独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。
     なお、引用は引用である限り幾らでも御自由にどうぞ。

    ○履歴
     立案:2008/10/21
     着手:11/13
     車輌条件・線路条件:11/13
     車輌条件変更:2009/2/7
     以上を仮公開:2/7
     下り基準時分再計算・速達系基本スジ:3/26
     上下基準時分再計算・速達系基本スジ:8/4
     青函間速度抑制時の速度を275km/h→260km/hに変更:8/29
     E5系仕様に量産先行車仕様を反映:8/29
     以上を仮公開:9/17
     DS-ATCパターンに合わせて構内所要時分見直し:9/20
     所要時分再計算完了:2010/10/28
     WinDIA打ち込み:2011/1/26
     全体調整・公開:1/27


    参考資料:先の当初北海道新幹線想定ダイヤ(Vol1〜3)の資料に加え、以下の通り。
         ○地形条件・線路条件等
          ・鉄道ピクトリアル2010年5月号
         ○車輌資料
          ・交通新聞2009年2月5日付1面
          ・鉄道ファン2009年10月号
          ・鉄道車両と技術2009年7月号、2010年8月号
           (以上敬称略)


    ※執筆中BGM:決戦!サルーイン(伊藤賢治、1992年)
              ラストバトル(同、1993年)
              ラストバトル(同、1995年)
    (C)2004-2011 far-away(◆farawagyp.)

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