騒音面で難儀してはいるようですが、とりあえずとコスト次第という形で技術的に目処が
立っているらしき範囲である、営業365km/h(設計405km/h)対応車両を投入するだけで北海道新幹線はこういう代物に
なる、ということを示すために以前書いてみたものの再改訂版です。 Vol.3で車輌条件の再検討と線路条件の精度向上を図りましたが、今回はE5系の投入計画を踏まえて 車輌条件について更にもう一歩踏み込んでみました。 ※現在は仕様部分のみを先行して仮公開している段階です。 2.基準運転時分〜4.運行ダイヤについてはVol.3と同じ部分のみしかありません。 (2011/1/27) 全内容を公開しました。 |
1.車輌 (1)360km/h対応車輌 (2)320km/h対応車輌 2.基準運転時分 (1)360km/h対応車輌 (2)320km/h対応車輌 3.曲線通過速度 4.運行ダイヤ |
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フル規格編成定員731名(普通席662+グリーン席51+上級グリーン席18) 新在直通編成定員337名(普通席314+グリーン席23) 併結時定員1068名(普通席976+グリーン席74+上級グリーン席18) フル規格車輌については、上級グリーン車の設置、交通新聞報道により1・2・4・6・8号車の座席を1列ずつ減少させたこと 以外は基本的に現行E2系と同じ構成である。 新在直通車輌については、E5系10連の編成長を254mとすると、先頭車23m中間車21mで7連なら併結時編成長405mになること から7連とした。併結すると700系16連を上回る新幹線史上最長の編成となるが、410mに十分収まる範囲であれば特段問題 ないだろう。 新在直通車輌の機器配置は、柔軟に。両端から3両ずつを1ユニットとして構成することはE955系同等としながら、主変圧器の 容量に配慮して14号車を独立させ、11〜13/14/15〜17号車の3ユニットに分割し、両先頭車はやはり片側のみを動力台車として 扱った。パンタは在来線を考慮して12号車及び16号車の2基とした。 新在直通車輌のグリーン車は11号車、サービスコーナーは12号車に設置。E5系の9・10号車及び併結時の組成を 考慮すると、グリーン車の位置は現状のままが良いと判断した。車端部の各設備を12号車に移すことで、11号車の定員は 確保した。一方、12〜17号車もフル規格車輌同様にシートピッチを拡大すると仮定して座席数を減少させた。車椅子用 座席は11・12・17号車と設定。 フル規格・新在直通のいずれも自由席は設定せず、現状通り特定特急券での対応に委ねる。 ※上記仕様は2009/2/7本稿公開時のままです。2010/2月以降のE6系仕様公開は反映しておりません。悪しからず。 性能面は、320km/hなら十分であろうことからE954の8N相当とする。余裕の少ないE5系に合わせると、起動加速度1.7km/h/s、速度 種別U21、明かり15‰登攀均衡289km/h、明かり平坦線均衡速度388km/h、隧道30‰登攀均衡200km/h、360km/h時明かり均衡勾配4‰。 (※:実車の360km/h時明かり均衡勾配は鉄道ファン09年10月号によれば3‰、鉄道車両と技術09年7月号によれば5‰――何れも8月刊行) 高速性能は大幅に向上しているが、定出力域で比較するとE2系6M2Tの7%増に過ぎない(対8M2T推定値では わずか1%増)。つまり、この高速性能はE2系の歯数比を変えて走行抵抗低減策を講じた場合の姿といえる。 車体傾斜は広報通り1.5度。 |
3.曲線通過速度 盛岡運転所以南のカントは155mm、以北はカント200mmで計算してある。盛岡〜八戸間がカント200mmで 造られている以上、八戸以北もそうである事は想像に難くない。 乗り心地限界速度はv=3.6{rg(sin2θ/2+0.08)}1/2で計算。r=曲線半径、g=重力加速度、θ=(カントに よる横方向軌道傾き+車体傾斜の総和)である。基準時間算定では全区間に於いて、この限界速度を5km/h以上下回り 且つ5km/h単位で最大となる数字を上限速度として使用した。 この結果、代表例として横方向0.08Gとなる速度は以下の通りとなる。
なお、C200のまま傾斜角2.5度の場合R5860まで、2度の場合R6140まで曲線半径を緩和するとこちらは365km/h走行に 於いて0Gとなる。つまりそれ以上の曲線半径ならば、理論上乗り心地に遠心力は影響しない。最小R6500という のは、この速度域での運転に妥当な線形ということになる。 |
4.運行ダイヤ 最高速度は下記の通りとする。 ◆列車毎 ・毎時2本の東京〜札幌速達(列車番号00nnB)、及びその早朝深夜区間運転:365km/h ・つばさ併結列車の仙台以南、及び仙台以南運転の各停タイプ:275km/h ・その他:320km/h ◆区間毎 ・東京〜上野:95km/h ・上野〜大宮:160km/h ・大宮〜宇都宮:E7系320km/h、E5・E6系275km/h、その他245km/h ・宇都宮〜札幌(新在共用区間以外):E7系365km/h、E5・E6系320km/h、その他275km/h ・新在共用区間:260km/h 以下の時刻例では、最高320〜365km/h運転の列車の一部のみ記載する。それ以外はダイヤグラムを以って代える。 なお先行列車に対する365km/hでの最短続行間隔は4分0秒(限界2分17秒)、320km/hは3分30秒(限 界1分55秒)、315km/hは3分15秒(限界1分53秒)、275km/hは2分45秒(限界1分33秒)を確保した。 ○下り
○上り
速達列車については前述の通り会社境界を無視して新青森通過としたが、盛岡〜新青森間178.4km、新青森〜新函館 間148.9kmと大差はないので、盛岡または新函館で乗務を交代することとして東日本と北海道の分担列車を 割り振る手もあるし、または盛岡〜新函館間を運転士2名以上を含む計4名乗務として、新青森通過後に運転士が 交代するという手もある(東海道新幹線に於いて豊橋付近で行われていた方法の変形)ので、協定如何の範囲内と 考えても良いだろう。 列車愛称の定義は以下の通りとした。
はやこまについては海峡線区間の線路容量と海峡間での特別料金不要特例を考慮し、盛岡以北では 停車駅をわざと必要以上に増やし遅くして、青函間での間隔をできるだけ狭めてある。 また、盛岡〜秋田間の所要時分については車体傾斜作動時の数字とした。 更に、東京の交差支障についても併せて触れておく。 現状配線では以下の通り、23番線に入線する場合を除いて同時発着が不可能である。
しかし、21〜22番線間に片渡り線を1本加えると途端に柔軟性が増し、通常の2面4線配線同様の運用が可能となる。
渡り線を更に1本加えると柔軟性が一層増して半分のパターンで同時発着が可能となるが、これは用地の都合上 困難という外ないだろう。ホームを数十m南側に動かすとなると、一体どれだけの費用が掛かることか。
こうして勝手に想定したダイヤのダイヤグラムは次の通り。 |
ほっかい単独:青実線(太)━━ | ほっかい+こまち:紫実線(太)━━ | 速達系はやて+こまち:赤実線(太)━━ |
はやて臨時区間:赤破線(太)━ ━ | こまち単独:紫実線(細)── | やまつば:緑実線(細)── |
ほくと:白実線(太)━━ | やまびこ単独:白実線(細)── | 緩行やまびこ・なすの:水実線(細)── |
大宮発着臨時:黄実線(細)─― | 回送:薄灰一点鎖線(細)─ - ― |
(幾分全体像を掴みやすい高密度版はこちら) これは緩急分併及び延長運転を除いたほぼ最大本数の想定であって、時間帯によっては需要に応じて間引くべき 列車や臨時列車も含めてある。東京駅の容量や大宮以南線路容量の問題もあるので、現実には一部を臨時扱いまたは 曜日限定運転とするなどの手段を講じるべきだろう。 待避線入出等の際分岐器制限は全て考慮済みである(盛岡も現行標識の80ではなく70で扱った)。 その他のポイントは以下の通り。 ◆全体的に ◆福島 ◆盛岡 ◆八甲田トンネル ◆青函間 ◆道内 とりあえず、カントを現状のままに固定した上で、速達のみ最高365km/h、つばさ併結や 各停タイプは275km/h止まり、その他は320km/hという混合状態にあってもなおこれだけの事はできるのだと 示すことが本稿の目的なので、そうした形で参考にして戴ければ幸いである。 |
念の為記しておきますが、以上は既設設備等一部の例外を除いて全て公表された計画を下敷きとして
独自に試算したものです。あくまで一個人の試案ですので、検索等で来られた方は誤解の無き様。 なお、引用は引用である限り幾らでも御自由にどうぞ。 ○履歴 立案:2008/10/21 着手:11/13 車輌条件・線路条件:11/13 車輌条件変更:2009/2/7 以上を仮公開:2/7 下り基準時分再計算・速達系基本スジ:3/26 上下基準時分再計算・速達系基本スジ:8/4 青函間速度抑制時の速度を275km/h→260km/hに変更:8/29 E5系仕様に量産先行車仕様を反映:8/29 以上を仮公開:9/17 DS-ATCパターンに合わせて構内所要時分見直し:9/20 所要時分再計算完了:2010/10/28 WinDIA打ち込み:2011/1/26 全体調整・公開:1/27 参考資料:先の当初北海道新幹線想定ダイヤ(Vol1〜3)の資料に加え、以下の通り。 ○地形条件・線路条件等 ・鉄道ピクトリアル2010年5月号 ○車輌資料 ・交通新聞2009年2月5日付1面 ・鉄道ファン2009年10月号 ・鉄道車両と技術2009年7月号、2010年8月号 (以上敬称略) ※執筆中BGM:決戦!サルーイン(伊藤賢治、1992年) ラストバトル(同、1993年) ラストバトル(同、1995年) (C)2004-2011 far-away(◆farawagyp.)
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